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あちゃぴーの自転車通勤
クリスタ = CLIP STUDIO PAINT EX 3.0.4
漫画を描くための予備知識

海獣の神曲

2024年にクリスタ購入

2024年の夏に1か月かけて50ページの漫画を描いてみた。4コマ以上は初めて。 ペイントソフトはオープンソースのkritaで頑張ろうと思ったが、日本語処理の問題で断念。 そしてクリスタと液タブを購入してみた。 ただクリスタの使い方がよくわからず、思ったように描けなかった。 その後何も描かずにいたのだが、再び漫画をスタートさせたい。 まずは漫画の常識と、クリスタの扱い方を備忘録として、まとめていこうと思う。

クリスタの良いところ

今わかっているクリスタの利点は、日本語文字組が楽であること、スクリーントーンの自由度、複数ページの管理などがある。

クリスタのよくないところ

メーカー的にサブスクにしたいのか、買取版はあるものの、バージョンアップは常に有料。 どうも毎年メジャーバージョンアップするようだが、内容的には微妙に機能が追加される程度。 気分的に8300円/年のサブスクは嫌なので24900円で買取購入したが、金銭的にはあまりお買い得ではないようだ。 常に最新版を使いたい場合は、購入後にさらにアップデートプランというものに入って毎年3400円払う必要がある。さらにアップデートプランをやめたら、買った時のバージョンまで戻されるようだ。何という・・・ひどいプランだ・・・ プランが分かりにくいので、少しでもお得に購入したい場合は、ちゃんと読んだ方がよさそうだ。 6年以内なら年払いのサブスクが常に最新が使えてお得だが、それ以上使う場合は買取+アップデートプランの方が若干安くなる。でも数年後は仕組も変わるので、メーカーがサブスク推奨していることからも、素直にサブスクを買うのが無難そうだ。

最近4.0にメジャーアップデートされたようなので、その新機能を少しチェックしたら、いらないわぁ・・・3.0で何の不満もない。

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印刷

基本的には印刷前提で原稿を作っておきたい。必要に応じてWeb上でも扱えるようにもしたい。 印刷は大きく分けて、商業誌と同人誌でサイズの扱いが違う。 ひとつの原稿で、すべてのフォーマットに対応するのが理想なので、可能かどうか調べてみる。

用紙サイズ規格 A列判、B列判

一般的な紙のサイズはドイツ式のA判と日本式のB判があり、今では国際規格となっている。 B判は四六判(しろくばん)として日本で親しまれていたサイズで、元々は江戸の公用紙である美濃紙判が由来。 A判、B判共に比率は同じで、サイズのみが違う。 比率は白銀比で1:ルート2となっていて、半分に切った際に比率が変わらないという特長がある。 0サイズの基準はメートル法の面積なので、辺を数値化すると丸める必要があり、誤差が結構ある。 現実的には各辺の長さで扱うので、まぁいろいろ問題が発生しやすい。 考え方はよいので、もう少し誤差が出にくい管理方法が求められる。

A列判、B列判

原稿サイズ

漫画原稿サイズは大きく分けて商業誌サイズと同人誌サイズがある。 個人的に使いそうなのは以下の2種類。

A列判、B列判

商業誌サイズ

B4サイズの紙に描く。 上記製本サイズは324x224と微妙な比率。 基本枠270x180は多くの出版社が採用している。 実際の雑誌のサイズはB5なので約80%縮小されることになる。 基本枠の270x180は、80%縮小され最終的には216x144となる。 コミックになると50%縮小になるようだ。

同人誌B5サイズ

同人誌は等倍で印刷される。A4サイズで描き、B5に裁断され、基本枠のサイズは印刷後も変わらない。 また同人誌では手軽なA5サイズも広く使われているが、基本的にはB5を前提にしておきたい。 必要に応じて縮小印刷することはコミックを作るようなもので難しいことではない。

上記を踏まえた上で、どちらの媒体でも利用できる原稿を作っておきたい。 クリスタ上では、一番大きな商業誌サイズで描き、出力するときに最適なサイズにすればよいと思う。 ただし漫画の場合、モノクロ2値で描いたり、スクリーントーンがあるので、線数なども考慮する必要があり、意外とややこしい。

「風の谷のナウシカ」サイズ

B5判「風の谷のナウシカ」の枠組みは以下のようになっていた。 ノドがやや詰まり過ぎで、見にくさはあるが、なるべく絵を大きく扱っている。上記の内枠を超えて、印刷可能な範囲までコマが描かれている感じ。セーフラインまで描いているようだ。 他の漫画であるような裁ち切りまで絵があるようなことはなく、行儀よく以下の範囲におさまっている。

B判ナウシカ

オリジナル商業誌サイズ

上記「風の谷のナウシカ」を少し修正してみた。 天地は、大手出版社のセーフラインを考慮しながらナウシカと同じ14mmとした。 小口、ノド寸法は同人誌サイズを採用。 これが最終的に印刷されたサイズ。

B判オリジナル

原稿サイズは上記を1.25倍したB4キャンバスサイズ。

B判オリジナル

上記原稿を同人誌のA4キャンバスサイズに縮小したい場合は、サイズをA4にして解像度を1200dpiにアップすれば補間方向になり、データ欠けがないのでよいと思う。 オートアクションと組み合わせて自動処理すれば、手間ではないと思う。

Web用

Web用はオマケ的位置づけで、基本的には紙印刷用原稿として仕上げる。 それでも多少はWeb用も考慮しておきたい。 一番の問題はスクリーントーンのモアレ対策となる。 簡単なのはグレースケール&低解像度で出力するというもの。 これはちょろちょろ試しているが、どうもしっくりこない。やはりスクリーントーンの粒を感じたい。 そうすると25%縮小がまぁまぁトーンがきれいに出る。ただし横幅が結構ありトンボ幅が1350px近くなってしまう。さらに小さくするとトーンに明らかなモアレが発生してしまう。それでも許容範囲と言えるのが20%となる。このサイズはトンボ幅が1000pxぐらいとなる。コマ部分は880pxぐらいになるので、ホームページに載せるにも許容範囲かもしれない。いろいろ試すしかないね。

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スクリーン線数

印刷の解像度に相当する重要な項目。 1インチ(25.4mm)当たりの網点の数で、単位はlpi(lines per inch)となっている。 原始的なシルクスクリーン印刷が分かりやすいので下に模式図を描いてみた。 そもそもスクリーン版はシルク(現在はナイロンやポリエステル)で作られていて縦糸横糸で編まれている。 版は抜けている部分とマスクされた部分があり、抜けている部分からインキが染み出し紙に印刷される。 実際のオフセット印刷はもっと複雑な工程となっている。

スクリーン線数は解像度に当たり、以下のようなイメージで、黒線はシルク線、白四角いところからインキが出て紙に印刷される。網点の数は45度斜めにすることで数えやすくなる。 もし水平に網点を数えようとすると、滲んでつながってしまうので数えにくい。

主な印刷媒体のスクリーン線数

意外なことに漫画や同人誌のスクリーン線数をズバリ示してくれているサイトがない。 漫画の場合、すぐにスクリーントーンの話になってしまって、実際のスクリーン線数には関心がないようだ。 とりあえず一般的な印刷物で使われている線数は以下の通り。

dpi

最終的に印刷される線数を基準にデジタル原稿の解像度dpiを設定する必要がある。 一般的に線数の2倍が適正値。

カラー原稿

表紙などのカラーデジタル原稿350dpiと言われるので、逆算して175lpiという線数が基本と考えられ、コート紙のカラー印刷に相当する。

モノクロ原稿

漫画本編はモノクロ2値600dpi、1200dpiで描くことが推奨され、トーンは60線が標準とされている。 実際印刷される線数は80~133線というところだろうか。 商業誌であれば、原稿を60線として描き、80%縮小され印刷されるので、最終的には75線という計算になる。おそらく80線以上で印刷されているため、問題は起きないということだろう。 同人誌で商業誌と同じトーンサイズにしたい場合は60線ではなく、75線にするとよさそうだ。

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オンデマンド印刷

仕組としてはレーザープリンタと考えてよさそう。 100部以下など部数が少ない時に利用する。 版が必要ないため比較的安価で短納期。 品質は一般的にオフセット印刷がよいとされるが、オンデマンド印刷の品質も向上している。 同人誌で少ない部数刷るにはよいと思われる。

オンデマンド印刷

オフセット印刷

伝統的な商業印刷方法でプロ品質。 版が必要なため、それなりの部数を刷らないと、単価が高くなってしまう。 カラーの場合はCMYKの4版が必要になる。 同人誌で刷る場合は、それなりの費用がかかる。

オフセット印刷

トーン

最も厄介なのがトーンかもしれない。 一般的に原稿の時点でトーンは60線ぐらいとされている。 商業誌では80%縮小するので最終的には75線相当となる。

トーンのパターンはいくつかあるのだが、基本的には円(網)だけあればよいと思っている。 よく使うトーンのパーセントは5、10、20、30、40、50、60ぐらいだろうか。 下は600dpiで60線のトーンを試してみる。 トーンレイヤーと、グレーを書き出しの際にモノクロ2値化しトーンに変換したもので比較してみる。 50%と60%は明らかに出方が違うので注意が必要だが、5~40%では同じような結果となった。

コマ枠

出力の際の設定でトーンの調整が出来るようになっていた。 こういう部分がクリスタの優れているところ。 以下の設定をすれば、トーンレイヤーも出力縮尺に応じて、自動的に最適な線数に調整してくれる。

コマ枠

以下の「レイヤー設定に従う」にチェックを入れれば、縮小したサイズに応じて線数がレイヤー設定したサイズに自動調整される。

コマ枠

となると、50%以上でも問題なく使えるトーンレイヤーを使ってトーンを見ながら作業するのが良さそうだ。

実際使うトーンの数は最小限にしたいと思っている。10~20%、40~50%あたりの2種類でなんとかできないかな? これも描きながら見つけていくしかないだろう。

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コマ枠の太さ

個人的にはコマ枠ツールを使わず手描きで乗り切るつもり。 漫画は手描きの感触を大事にしたいので、あまり機械的なきっちりした線は使いたくない。 手描きであれば、滲みや太さが変化する。この程度が丁度良い。

コマ枠

コマ枠線を0.5mm以上の太めにする漫画家が多そうだけど、個人的にはちょっと太すぎと思ってしまう。 現状ではB5のときに約0.3mm程度がよいかもしれない。 原稿は0.3x1.25=0.375mmとする。 ちなみにキャンバスサイズB4で600dpiで描く場合、1px当たりをミリに変換すると、0.042mmとなっている。これを80%縮小すると、0.034mm。 これを見ると、0.3mmぐらいの線は幅が8~9pxぐらいということになる。 拡大すると以下のようになる。結構ガタガタ解像度という印象だけど、印刷すればインキが滲んでガタガタは失われると思われる。不満があれば1200dpiに上げて描くしかないだろう。

コマ枠

ちなみに太さなどを計測するにはルーラーが粗すぎて使えないので、直線定規ツールで目盛り表示にするとよい。0.01mmまで表示される。

線の太さ

太めの線は、枠線0.375mm以下にしようと思う。 細目の線を引いて、拡大すると解像度の粗さが目立つが問題はないと思われる。

G Pen

文字の大きさ

漫画によって文字の大きさは様々。さらにセリフによっても大きくサイズが違う。 ここでは基本となるサイズを決めておきたい。 やはり参考にするのは「風の谷のナウシカ」で、おそらく漫画としては文字は小さめだと思われる。 印刷された文字の天地サイズが2.2mmなので、原稿は1.25倍すると2.75mmとなる。 1pt=約0.35mmなので8ポイントぐらいというところか。 B5で印刷されればよいのだけど、もっと小さい判の場合は、小さすぎるかもしれない。 とりあえず9~10ptぐらいで試してみようと思う。

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フォント

漫画のフォントは、やや特殊で漢字がゴシックで、ひらがな、カタカナが太明朝という組み合わせになっている。クリスタでは標準で「I-OTFアンチックStd B(イワタアンチック体B)」というフォントが用意されているので、基本的にはこれを使い、必要に応じて、他フォントを組み合わせればよいと思う。

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下コマは「g_コミック古印体フォント-教漢版太字」も使ってみたところ。

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CLIP STUDIO PAINT