Inkscape 概要
無料で使えるドローソフト(ベクター系)としてInkscapeは20年ほど前からある。Adobe Illustratorの代わりになる無料ドローソフトは、おそらくこれぐらいしかない。他にもいくつか試してみたが機能面で物足りない印象で、やはりInkscapeに戻ってしまう。
本家Adobe Illustratorは昔会社で使っていたが、あまり好きになれず、個人ではAldus FreeHandを使っていた。しかしAldusがアドビに買収されて消えそうになったところMacromediaに救われたのだが、そのMacromediaもAdobeに買収されて消滅。こうなるとAdobe嫌いになります。
この20年は必要性がなく遠のいていて、たま~にInkscapeを使うという感じだったが、最近また必要性を感じ始めて、ドローソフトをあさり始めた。
有料ドローソフトも試していて、Affinity Designerという新参ソフトは良い印象だった。定価で7000円という安さ。こちらの試用版を触ったところ、レスポンスのよさが際立った。角Rの処理なども洗練されている。CMYKも扱えるのでカラー印刷にも対応できそう。ただ日本語縦書き文字組がないので、文字を含んだ印刷用途では、まだ厳しいという感じ。文字組関係が充実したら買ってもよいと思えるソフトではあった。それまではInkscapeで乗り切ろうと思う。
https://inkscape.org/ja/
現状Inkscape 1.2の印象
備忘録を兼ねて、Inkscapeの基礎的な操作手順を残しておくことにした。このページは久しぶりに触った印象を書いときます。
オープンソースでマルチプラットフォーム
Windows、Mac、Linuxで同じように動く。パフォーマンス的にはLinuxで動かすのが一番ストレスない。
もっさりと重い
以前のWindows版は重たくて使う気がしなかったが、PCスペックのゴリ押しで、それなりに動くようになった。それでももっさり感はある。巨大なファイルが有料のAffinity Designerではサクサク動くのに対して、Inkscapeでは止まってしまって、そのまま応答しないこともしばしば。軽~いデータなら大きな問題はなさそうだが。
インターフェイスがよくなった?
バージョン1.2になって、少しインターフェイスがよくなったように思えたので使う気になる。 操作系は直感的とは言い難いところが多く、無駄に大きなパレットだったり、重複しているような機能がバラバラに配置されている。さらに、それぞれの機能に癖があって、考え方を理解するのも大変。慣れるまで時間がかかりそうだ。
CMYKは疑似
色に関しては基本的にRGB。CMYKは疑似で出力もできない。カラー印刷などの原稿としては、PDF出力などで妥協する必要がある。
文字組み
日本語縦書きも可能で、意外となんとかなりそう。簡単なチラシ作成ぐらいなら大きな問題はなさそうに見える。
SVG準拠
W3CのSVG準拠で、保存したファイルの拡張子がsvgというこだわり。SVGはWeb利用で期待されながらも、今一つ浸透していない気がする。SVGの中身はXMLのテキストデータなので、何かとプログラム的にも扱いやすいといえる。下の絵はSVGをblog内に埋め込んで、CSSでシャドウを付けたもの。画像上でマウスホイール操作することでサイズ変更可能。SVGは解像度に依存しない。
XMLエディター
Inkscape内にXMLエディターがあり、テキストで細かなエディットが可能。SVG準拠という部分がInkscapeの一番気に入っている部分かもしれない。
エクステンション
エクステンション(拡張機能)は自作も可能で、割と手軽にPythonで組むことが可能。APIをちゃんと理解すれば、幾何学的な図形などで利用できそうだ。画像はフィボナッチ数列ぽいものを組んでみたところ。
下はタイルクローンを使って、写真を丸の大きさで網点のように表現したもの。触っているといろんなことができることが判明。
QRコードも作れる。めっちゃ実用。
この手のドローが苦手とする数式を用いたサインカーブも出来てしまった。 2024年にはソフトシンセのu-he Zebra3がSVGで波形を入出力が出来るようになるので、何が出来るか模索しておくのもよいかもしれない。
久々に触ってみたのだが
今までは必要性に迫られたとき、仕方なく使っていたInkscapeだったが、改めて触ってみると、結構使えるという印象に変化。というよりも機能が多すぎて、把握するだけでもかなりの時間を要するのは間違いない。それに公式リファレンスを見ると、ショートカットや、隠れ機能がいろいろあって、うまく使えばIllustratorよりもはるかに便利なドローソフトになりそう。 これからは、ベクター系の使用頻度が増えそうなので、もう少し積極的に取り組んでみようかと思っている。