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あちゃぴーの自転車通勤
CLAPi Cardinal お試し

積極的に使うつもりはないものの、電子ブロックみたいな魅力があるソフト・モジュラーシンセ。 u-heもEurorackの開発をしていて、現在CVilization、Wiretapがラインナップされている。 VCV Rack版も出そうな雰囲気なので気になっているところ。 VCV Rack(2017~)は、スタンドアローン版が無料で利用できる。 まぁスタンドアローンでもよいのだけど、個人的にはリアルタイムでパフォーマンスするつもりはなく、どちらかというと実験用途なので、DAWでオートメーションしたり、他プラグインと連携したりしたい。 また音楽ファイルは、なるべくReaperのみで管理したい。 しかしDAWで使えるプラグイン版VCV Rackは有料。 そこでCardinal(2022~)を使うことにした。 VCV Rackから派生したオープンソース・プロジェクトで、プラグインとして無料で利用できる。 しかもCLAP版もある!

Cardinalバージョンの数値は、年月の表示となっていて分かりやすい。 最新は24.12なので、2024年12月リリースとなる。 最初のバージョンは22.02なので2022年2月のようだ。

https://cardinal.kx.studio/

Cardinal起動時に以下の3種類が選択できる。

以下UIがCardinal Synthを開いたときのデフォルト・パッチ。 シンセの内部をある程度知らないと手に負えない感じがする。 最小限のセッティングがされているので、MIDIキーボードを弾けば音が出るようになっている。ただし初期設定はモノフォニック。

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音はこんな感じで、サイン波が出ている。ポルタメントは無効状態。

モージュールはあらかじめ用意されていて追加はできない

VCV Rackと大きく違うところとして、Cardinalは後からモジュール追加ができない。 その代わり、あらかじめ1282個のモジュールが用意されていて、メジャーなメーカーを網羅している。 モジュールの数はCardinalのバージョンアップのたびに増えているようだ。 本家VCV Rackは現在3581モジュールあるようで、気に入ったものをダウンロードする仕組。 モジュールが初めから用意されている良い面としては、環境の再現が簡単だということ。 VCVだと、気に入ったモジュールをリストアップして、 ちゃんと管理しないと、環境を変えた時に大変なことになるが、Cardinalであれば、そういう面倒なことが起きないし、何なら他の人とプリセットの共有すら出来るようになる。 また、山ほどモジュールがあるにも関わらず、CLAP Cardinal Synthは98MBぐらいの容量。意外と小さいと思えるのは肥大化し過ぎたソフトを見すぎたためだろうか・・・

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初期設定を中心に動作確認

実験用途では重宝しそうなので、Cardinalを使えるようにしておこうと思っている。 よりストレートに接続していくことになるので、基本的なシンセの構造は知っていても、信号の具体的な挙動など再確認することは多いと思われる。 とりあえず、このページでは基本的な減算式シンセを構築してみる。

DISTRHO modules

まずは初期設定から確認し、必要に応じてモジュールを追加。 MIDI INとAudio OutはCardinal=Brand名DISTRHOを使う。 Cardinal純正モジュールということで、必要に応じて以下からチョイス。 ここにあるモジュールは必須のものと、拡張的、オマケ的なものが混在する。 赤枠は知っておいた方がよさそうなモジュール。 HOSTとの通信、つまりMIDI入力、オーディオ出力等は、他ブランドでは提供されていないと思う。 オリジナルのVCVでは、ここにあるような基本モジュールはVCVで提供されている。

公式マニュアル

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VCV modules

基本モジュールはVCV Rack標準のBrand名VCVを使用する。 これらで機能不足を感じたら、他ブランドのモジュールをあさり始めればよいと思う。 沼が広がっているので、個人的には実験用途に留めておきたい。 以下はVCVのホームページのマニュアル。 これを読まないと分からないモジュールも多い。

マニュアル:https://vcvrack.com/Free

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オシレータから直接出力

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上記のようにセッティングすると、結果はサイン波C4(261.63Hz)が鳴りっぱなしになる。 もっとも単純な音の出し方となる。VCOは電源を入れた状態で、音が出続けることを意識する必要がある。基本的には実機のユーロラックと同じ動作をするものと思ってよい。

Gateを利用して鍵盤のON/OFFでコントロール

MIDI鍵盤からノートON/OFFをコントロールする場合は、HOST MIDIのGateを使う。 Gateからは、鍵盤のON/OFFが電圧として出力される。 そのGateをVCAのCV INに接続し、VCAの出力をコントロールする。

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Gate信号をスコープで見ると以下のように、Note ONのとき10Vを出し続け、Note OFFで0Vとなっているのが分かる。 モジュラーシンセでは、何が起きているかチェックするためにスコープは欠かせない。 信号はプラスマイナス5Vや10Vに振る場合と、プラスだけに10V振る場合などがある。

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V/Octで鍵盤の音程を適用する

上記設定だと鍵盤のどこを押してもC4しか鳴らないので、ちゃんと音程が出るようにするにはHost MIDIのV/OctをVCOのC/OCTに接続する。

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鍵盤C5を押したときHost MIDIのV/Octの出力信号をスコープで見ると1Vとなった。 C4は0Vで、VOCのFREQの設定が261.63Hzとなっていて、これと一致する。 モジュラーシンセの多くは1V上がるとオクターブ上がるという約束事がある。

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ドレミを鳴らしてみるが、無機質なサウンドとなっている。音の鳴りやむタイミングは唐突なのでプチとノイズになってしまう。

ここまで見てきて、やっぱりモジュラーシンセは、細かく信号の挙動をオシロ等でチェック出来るので、実験には便利! 電子工作をやっている感覚に近い。

ADSR

次にADSRを使用してみる。Host MIDIのGateをADSRのGATEにつなぎ、ADSRのOUTをVCAのCV INに接続しVCAの音量をコントロールする。

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ADSRのGATEにはNote ONで10V突っ込んでいるんだが、下のようにVCA-2をはさんで何Vで動作するかチェックしてみたら、1V以上で反応することが分かった。1~10Vであれば同じように動作するということ。

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VelocityでADSRのアタックをコントロールしてみた。これが出来るシンセって意外と少ないので、やっぱりモジュラーシンセは痒い所に手が届くと思ったよ。 ついでに音量もVelocityでコントロールしようと思ったが、上で使ったVCA-2を使ってしまった。もう少しスマートな方法があるかもしれない。

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ADSRとVelocityが効いたサウンド。

LFO

ピッチを揺らすことでビブラートとして使ってみる。VCOのFMに入れる。ただしFM上のノブを微調整する必要がある。ちょいと使いにくい。こういう不満から、標準以外のモジュールを使うようになるのね。よくあるNote ONから徐々にビブラートをかけるにはどうしたらよいのだ?ADSRとかVCAを使ってやるしかないのかな?なんか大げさだな・・・

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常時ビブラートがかかるようになる。

VCF

フィルターを入れてみる。カットオフ周波数をゲートのタイミングで動かしたいので、新たにADSRも追加。以下のようになる。ようやくシンセ並みの機能が揃いだすが、画面上は結構ごちゃごちゃしてきた・・・ 普通のシンセとして使うなら、絶対にu-heとか使っておいた方がいいわ。 モジュラーシンセはあくまでも実験とか、シーケンサーを駆使したモジュラーらしい使い方をしたいときに限る。

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ポリフォニックにもしてみる。Host MIDIパネルの上で右クリックすすると以下のようメニューが出るので、そこから必要な和音数を選択する。

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アナログモジュラーシンセというより、デジタルなサウンドだね。 Surgeをいじった時の印象に近い。 モジュールをあれこれ探せば好みのサウンドにはなるとは思う。

portamento

大好きなポルタメントの実現方法がよくわからん。 VCVの中のモジュールで可能なのか分からず、Bogaudio(BGA) SLEWというスルーリミッターを使ってみた。 Host MIDIのC/OctをSLEWを経由してVCOにつなぐと、前回のノートの電圧を覚えていて、そこから新しいノートの電圧へ滑らかに変えてく動作をするようだ。 セッティングは以下の通りで、それっぽくなる。RISEとFALLで設定を変えられるところは便利かもしれない。

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オートメーション

DAWから各パラメータを動かしたい。 おそらくHost Paramsを使うのが素直なやり方だと思われる。 適当にいじっていてうまく行った方法なので、もっと効率的な方法があるかもしれないが、とりあえず、これでうまくいく。 下の例ではHost Params01がVCOのFMに青いケーブルで接続し、周波数を変調するというもの。

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Reaperの場合、Host Paramsの01をクリックして、その上でメニューParamのShaw track Envelopeを選択。

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そうすると、トラック下にエンベロープのトラックが出来るので、ここで自由に描くことができる。ただしオートメーションを作動させてもUIのノブはアニメとして連動しないようだ。 待てよHost Params Mapを使うとノブを動かしたりも出来るなぁ? そのうち試していこうと思う。全容が全く把握できていない・・・

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数時間使ってみて

予想通り電子ブロック的というか、レゴブロック的というか、ビジュアルプログラミング的。 最小限の機能単位であるモジュールを組み合わせる楽しさが一番のポイントで、その思考はプログラミングに限りなく近い。 各モジュールは単機能なので、プログラミング的には演算子、もしくは小さな関数。 基本的には組み合わせないと何もできないことを意味する。 中には複数機能を1セットにしたモジュールもあるが、もはや関数を束ねたクラスという感じ。 そういう方向になればなるほど古典的なモジュールシンセからかけ離れていくが、スペースと予算の問題が深刻な実機ユーロラックの場合は重宝するだろうし、その先に未来があるようにも見える。 Cardinal、VCV Rackは、プログラミングが好きでシンセが好きなら気に入る仕様だと思う。 そのうち、モジュラーシンセらしいシーケンサーを使ったピコピコサウンドをどうやって作っているか興味あるので、調べつつ真似をしてみようと思う。

普通の音作りをする場合は、やはりu-heなどのシンセが格段に楽出来て、サウンドも好み。今のところCardinalはデジタル臭が強い印象。 u-he並みにアナログサウンドにこだわると、CPU負荷が上がり過ぎるのは間違いない。 u-heの場合は拡張制限があるので、CPUパワーを音質に振ることができる。 しかし、どう組まれるか分からないモジュラーコンセプトの場合、音質と拡張のバランス調整が出来ないので、音質は妥協している可能性が高そう。 実機のユーロラック操作に慣れるための練習用という意味合いが大きいのかな?

Cardinal