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あちゃぴーの自転車通勤
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YAMAHA DX7クローンFM音源

dexedは実機の再現度が高く、登場以来評価され続けている。 オープンソースの開発は、ややスローペースで、たまーに更新される。 それでも最新版ではCLAP対応になった。しかしいろいろ不具合はあるね。 それにしてもDX7のオリジナルパッチが、そのまま読み込めてしまうのはありがたい。 当時の音がかなりのレベルで再現できるというところに価値がある!  現状ではポルタメントはできないものの、様々な用途で実用になるプラグインだと思う。

https://asb2m10.github.io/dexed/
Version 0.9.8 (Oct 9 2024)

dexed

下はオリジナルDX7。80年代を代表するシンセでデザインも時代を感じさせる。本体は写真では黒に見えるが、こげ茶。独特なボタンの色がいい。今時のシンセと違い、モノラルでエフェクト非搭載。同時発音数は当時としては多い16音。12bitで生成されている。

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実は初音ミクのデザインモチーフはDX7で、カラーはモロです。世界一売れたシンセと世界一売れたボカロですね。・・・後からWikiを見たら、世界一売れたシンセはKorgのM1ぽい。それでもDX7は10万台以上売れたとか。ただDX7のバリエーションもあるし、DXシリーズもあるので、トータルではすごい数になるはず。

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FM音源の情報は意外とある

音のつくり方を調べようと思って、ネットを検索すると、世界中にDX7マニアがいることがわかった。当時の音色データも入手可能。 FM音源についても情報は意外と豊富で、日本語の解説もあちこちに存在する。YAMAHAでDX7のマニュアルも入手可能。 これならあまり苦労しないかも。

https://jp.yamaha.com/products/music_production/synthesizers/dx7/downloads.html#product-tabs

また最近ヤマハがreface DXなどを発売していて、かつてのDXユーザーを喜ばしているようだ。 それにしても、この10年ぐらいシンセの進むべき方向が見えないで迷走しているようにも見えるが・・・

付属ROMの音

DX7と言えばエレピの音が有名で、当時のポップスでは頻繁に使われていた。まずは、その音を聞いてみたいのでネット上からDX7のROMデータを入手してみた。DX7本体に内蔵されている音色は以下の32音。

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本体内蔵音色は電池が切れると消えてしまうようで、カートリッジROM(64音色)が付属されていたようだ。本体の読み込めるのは32音色なので、カートリッジはカセットやレコードのようにA(32音色),B(32音色)に分けてある。dexedに読み込める当時のROMデータを貼っておきます。

YAMAHA ROM1~4

下サンプルは有名な11番のE.PIANOをDEXEDで再現してみたもの。録音に失敗して音が割れてしまったが・・・まぁなかなかいい音。ちなみにすっぴんの音ではない。DX7はモノラルでリバーブのようなエフェクトも搭載されてない。だからすっぴんでは、あれ?という音になるので、エフェクトは必須。

次はエフェクトなしで、25番のTUB BELLSの鐘音を使った学校のチャイムを真似てみた。FMならではの音という感じ。このチャイムは本来アコースティックだけど、80年代から徐々にFM音源になったようだ。現在はPCMかな?

DEXEDの使い方

音作りの前に音色の保存について。DEXEDは説明書のようなものがなくて、はじめ音色のコピーすら判らなかった。 方法はCARTボタンを押して、下のようなウィンドウを開く。下のリストは内蔵音色に相当する現在アクティブな音色。syxファイルをダブルクリックするとロードされる。横リストはワンクリックすることで、表示されるリストで、ロードはされない。この横リストから、下リストへドラッグ&ドロップすることで、内蔵音色に追加することができる。

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DEXEDのパネル説明

下はDEXED独自の部分。音色の切替や、保存などもここで行う。

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オペレータ

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アルゴリズム

32のアルゴリズムが用意されていて、algorithmつまみを回すことで選択することで利用する。 アルゴリズムとは、6個のオシレーターの組み合わせ方法のこと。絵で言うと下から出力されるイメージ。下の32番のアルゴリズムは6つが並列なので、お互い何のかかわりもなく出力されることになる。上下に積み重なっている場合は変調される。四角く囲まれているところはフィードバック可能なオシレーター。 feedbackつまみは0~7の8段階で調整可能。

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アルゴリズムの一覧。

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LFO

各オシレータに共通のLFO。主に音の揺れなどを設定する部分。

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カーブは以下のものが使える。

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P EG

ピッチEG(エンベロープジェネレータ)。各オシレータにおいて、発音から消えるまでのピッチを管理するためのパラメーター。ピッチのある楽器音色にはあまり積極的に使うことはないが、出だしのピッチをわずかに変化させたいとか、打楽器、効果音などでは様々な効果が期待できる。

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基本的にはオシレータのEGと同じ設定項目だが、levelは音量ではなくピッチなる。4に関しては、やや特殊で、最後の音のピッチと最初の音のピッチは同じになるようだ。 下サンプルは、P EG level 1のみを99にし、他はデフォルトのまま。ピッチを最大に上げてみた。サイン波C4を鳴らした場合、0.5secかけてC8(4オクターブ上)までピッチが上がり、一気に下がってC4に安定。

上の状態からP EG rate1を0にすると、約40秒かけて上がった。

基本となるサイン波の作成

まずは、基本となるサイン波だけを作ってみる。 アルゴリズム32を選択して、6のオシレータのみを使用。他のオシレータはOFFにするか、levelを最小にする。 設定は以下のような感じで、純粋なサイン波だけを出力するようにした。

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出来た音(A 440Hz)は、こんな感じで、音の出始めと終わりでプチッと音が出てしまう。これをなくすにはEG rateの調整が必要。

修正した音はこんな風になる。プチ音がなくなっている。上記との違いは、EG rate1 = 70、EG rate4 = 60。

これでは面白みがないので、まずオシレータの中の設定をいじってみる。減衰する音にしてみた。

この音にエフェクトを掛けるだけで、そこそこ使えるようになる。

オシレーター以外のP EG をいじってみる。効果音的な使い方をするならあり。

LFOでモジュレーションをかけて揺れを作ってみる。極端にPMDだけを最大にして使った場合。ピッチだけが揺れる。

次にAMDだけを最大にして使った場合。これは音量が揺れる。

PMD、AMD両方を最大にして使った場合。ピッチ、音量共に揺れる。

もう少し音楽的にする場合は、PMD,AMD共にひかえめにして、音がしてから、しばらくして揺れるような設定にすると楽器ぽさが出てくる。

フィードバックを使ってみる。設定を素のサイン波に戻して、フィードバックを4にしてみる。倍音が増えて音色ががらりと変わる。

こういう音ならアンサンブルの中でも音が通るようになる。

フィードバックを上げて行くとホワイトノイズも作り出せる。ホワイトノイズを作り出したい場合は、fixedにして周波数を固定した方がそれっぽい。

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