アコースティックギター Takamine TSS-08
タカミネ Takamine TSS-08 定価84,000円
株式会社 高峰楽器製作所 http://www.takamineguitars.co.jp/
メインのギターとして使っているが、実は自分の物ではなかったりする。ずっと弾かれていなかったので2009年から使い始めた。今さらながら紹介。
タカミネというメーカーは国内ではそれほど知名度はないかもしれないが、アメリカなどでは高く、アコースティックギターメーカーとしてはトップブランドのひとつとして認知されている。耐久性、安定性など過酷な条件下での使用では高い信頼性を得ているようだ。あとエレアコ=タカミネというイメージもあるかも。
ギターはどこで作られているのか? ギターブランド(メーカー)と製造メーカーは必ずしも同一ではなく、自社工場で生産しているギターブランドは意外と少ない。多くは委託だったりするし、どこで作っているか隠そうとしているブランドも見受けられる。タカミネは岐阜の自社工場で作られている。だたしtaka-miniやエントリーシリーズなどの一部ラインナップは中国製のようだ。それなりに高価なギターは国内生産。ちゃんとホームページ上で明記してあるので親切。
このTSS-08は、10年以上前に作られたアコースティックギター。現在のタカミネのラインナップではSA241が近いかな。ハードケース付で136,500円になっている。よく見ると色々変更されている。まずヘッドの形が違っている。弦をなるべく曲げない配慮だろうか、やや長めか、細くなっている。ピックガードのかたちも違う。たぶんネック周りの形状も違うのだろう。
上はタカミネオリジナル形状のヘッド。ボートみたい。Takamineのロゴは螺鈿細工。
ドレッドノートと呼ばれるかたち
マーチンがオリジナル。世界中のギターメーカーがこれのコピーを作るほどポピュラーなかたち。このギターは当時のギターにくらべて大きかったようだ。今ではそれほど大きいというイメージでもないし、これ以上大きなギターも存在する。以前ドレッドノートって何だろうと思って調べたら、イギリス海軍の大型戦艦が由来らしい。意外と思ったのを思い出す。タカミネのドレッドノートはヘッドだけオリジナルシェイプになっている。曲線が使われていて、はじめ違和感があったが、今は好きになってきた。
主な仕様
スケール 644mm (スケールは各社それぞれ Martin 645.2mm、YAMAHA 651mmなど)
ネック マホガニー
指板 ローズウッド
トップ スプルース(松)単板 約3.7mm厚
サイド マホガニー単板
バック マホガニー単板
ナット 牛骨 約43mm
サドル 牛骨 交換してTUSQ
ピックガード 塩ビ製 0.5mm厚
ボディ容量 大まかな計算で13.3リットルぐらい
共振周波数 G2-10cent程度
サウンドホールの直径 100mm
サイズ 全長1060 幅400(ボディ最大) 厚み125(エンド部) mm
重量 2kgちょっとぐらい
ペグ ゴトー No.SG301-20 ギア比:1:18
フレット 三晃製作所 SBB-23かな? 材質は洋白
塗装 ポリウレタン?
主な接着剤 ニカワ
横から見ると、表板と裏板は並行ではなく角度がついている。理由は何だろう? 演奏面と音響面の両面がありそうだ。
音
所有している他のギターはミニギターのtaka-miniしかない。そもそも比較にはならないのだが、まぁ明らかにデカイ音が出て各音のバランスもいい感じ。低音は比べ物にならない量感。ストロークで思い切り弾くと近所迷惑だな。まぁ小さめの音で弾いている。気になったのはウルフトーンで、6弦3フレットのGの音を弾くと大きくサスティーンのない音が出る。
ピックガード
0.5mm厚の塩ビ。接着剤はニカワだろう。
指板の14フレット以降は、ボディの表板に接着されているのだが、これはあまりよくないと思う。この部分を浮かすという発想はないのかな? バイオリン属の楽器はみんな浮いているのだけど。これが表板と密着することで、指板ストレート化の障壁となってくるのだが。
サドル
タカミネはダブルサドルを採用してオクターブチューニングをよりしやすくしているのだが、弦高を低くすると、かえって合わなくなってしまう。タカミネとしては弦高が低いのは認めていないのかもしれない。もう少し調整幅があるサドルであればよいのだが・・・写真のサドルはオリジナルではなく、TUSQで各弦ごとに独立させている。オクターブチューニング優先で調整していくと、それなりの弦高になってしまった。12フレットで3mmぐらいかな。
ブリッジピンはオリジナルではなく、安価なものに交換している。
フレット
三晃製のフレットに交換してしまったが、オリジナルフレットも三晃かな? オリジナルを測ってみると三晃にあるサイズなので可能性は高い。三晃は世界的に標準品で、あちこちのメーカーで使われている。材質は洋白(ニッケルシルバー)。これはニッケル合金。予想成分比は、銅(55%)、ニッケル(18%)、亜鉛(27%)かな? オリジナルフレットはこれ? 三晃 SBB-23 2.0(幅)×1.0(高)mm
株式会社三晃製作所 http://www.sanko-s.co.jp/
交換後はオリジナルよりも高さのあるフレットを使っている。フレットの高さは演奏に大きく影響する。個人的には高めが弾き易いと思う。
交換後のフレット三晃 SBB-214H
600(長)×2.4(巾)×1.3(高)mm 素材ニッケルシルバー 525円 x2本
塗装
ポリウレタン系だと思われる。メンテナンスや経年劣化を考えるとポリウレタン系はよいと思う。音的には塗膜が厚く硬いと鳴りが悪くなるという理由から、高級品には使われないようだけど、塗装としての安定性では抜群だろう。10年も経つと部分的にうっすら白く曇りが出てきたりする。これは塗装の内部の白化なのでどうしようもない。ギターによってはヘッド全体に出ていたりする。原因は保存状態にあるのかな? 湿度が高いとよくなさそうだ。
接着剤
各部の接着はニカワが使われるようだ。タカミネのホームページをみたらニカワを使用しているとあった。ニカワは天然接着剤。皮や骨を煮込んで作るので使用時は強烈な匂いがする。乾燥状態では強力な接着力。熱や水分を与えると意外とあっさり取れるので木製楽器の接着剤として大昔から使われている。
ペグ
Takamineとシールが貼ってあるがゴトー製。こういう部分って、そのまま製造メーカーの名称が出ていてよいと思うのだが、それを隠すようなメーカー多いなぁ。ペグの型番はおそらくこれ。
GOTOH No.SG301-20
ギア比:1:18
後藤ガット有限会社 http://www.g-gotoh.com/domestic/
ペグだけセットで買うと安くて4800円ぐらい。1個800円以上というところか。結構よいお値段。
ゴトーのペグは国産で品質も高く信頼性抜群。このペグはゴトーの中では安価なもの。それでも10年以上ノーメンテにもかかわらず、チューニングも狂わず安定した動作をする。錆もなく曇りもなくよい状態。ビスだけは若干錆がでてきたかな。
ヘッドを横から見ると、木部が2層になっているのが分かる。厚みは16mm。
ペグの拡大写真。ビスにうっすら錆が出てきたので、ステンレス製に交換しようかな。ペグ本体は素晴らしい状態が保たれている。
1999年に入手したタカミネのカタログ
材に単板を使ったTSSシリーズ。TSS-08は一番安いモデル。
音サンプル