五線譜の歴史とギターとの相性
ギターを放置して半年ぐらい・・・ 完全に忘れないうちに再スタートしたいところ。 音楽をやる上で譜面を避けると損するような気がしたので、ある程度譜面の読み書きが出来るようにしようと思う。その備忘録。
五線譜の歴史
現在の五線譜の歴史は西暦700年代のグレゴリオ聖歌から始まる。楽譜が使われはじめた理由は、政治と宗教にとって都合がよかったからであり、純粋な芸術のためではないところが面白い。この初期の楽譜は、音の長さ指定はなく、休符という概念もないようだ。
それ以前の時代で広く使われてた楽譜形式は見つかっていないようだ。さらにさかのぼって古代ローマ、ギリシャには何か楽譜のようなものがあったようだが、他の芸術と同じくローマ崩壊と共に失われてしまっている。 楽譜は音を記録する道具であったと同時に音楽を作る道具でもあり、ハーモニーなど高度な音楽の創作に貢献し、音楽と共に発展していったと考えられる。 一方、西洋以外では楽譜はあまり発展せず、パート譜的なものにとどまっている。楽器演奏は基本的には行為伝承で伝えられ、楽譜への記録は断片に過ぎないとされ、軽視されていたのだろう。
1200年代になると現在の5線に近づいて、1500年代には印刷技術も発達したおかげで、本格的に楽譜が使われるようになった。1600年代以降は現在の五線譜とほとんど同じようなものになったようだ。このころから作曲家もクレジットされるようになって、バロック音楽の幕開けとなった。バッハの作品には「Prelude BWV 846」のように番号があるが、これは印刷用の整理番号で印刷業者が付けたもの。
当時のバッハの楽譜はすでに現代の楽譜にかなり近いため、現代の音楽家でも慣れれば演奏できるそうだ。日本で言えば江戸幕府が出来たころなので、その当時のものを現代人が読むというのは普通無理だろう。楽譜のシステムがいかに優れていて、それを継承してきたことによるメリットは計り知れない。
楽譜の優れたところ
楽譜は時間軸に対して音符間の比と、相対的な音程をかなり厳密に記している。この部分が大きな特徴だろう。ハーモニーの構築や、正確なリズムなどを記すには適している。それ以外の音量などの要素はやや抽象的だが、演奏で正確に再現できるのはリズムと音程ぐらいなので大きな問題はない。現在は、楽譜で表現できない部分は、録音を参考にすればよい。
ギターと相性が悪い五線譜
どう考えても鍵盤楽器のご都合で発展してきた五線譜。鍵盤楽器は、音を出すための物理的な制限から解放されるように作られたものだから、ある意味理想的な配列になっている。そういう意味では理想的な楽器と、それに最適化された楽譜というコンビネーションになる。
そんな経緯があるので鍵盤楽器以外では使いにくいのは当然。ただ楽器に依存しない共通楽譜は便利なので音楽全体から見れば有意義なこと。音楽やるなら黙って五線譜に慣れましょう。
ギターの場合、楽譜からダイレクトに指板上の音に結びつかないと思う。実際クラシックギターでも弦の指定やら指の指定を楽譜に書きこむことで成り立っている。ピアノのように同じ音がひとつしか存在しないなら、弾き方も固定されるが、ギターの場合同じ音が複数存在し、さまざまポジションで弾けてしまう。これは便利である反面、楽譜との対応は厄介になる。
そこでギターにはタブ譜(Tablature)というものも古く(1500年代)から存在し、ポピュラー音楽では、そのわかりやすさから浸透している。確かにギターの指板上の音とダイレクトな対応ができるので迷いがない。ただ、汎用性があまりにも欠けている。コードトーンの構成などを学ぶにはあまり適していない。ということで補助的に使うぐらいが適当かと思う。
ドレミの音が接着剤
楽譜を見て、それをギターの指板上に置き換える作業を効率良く行う方法は何か? なかなか決定打はないと思うし、プロでも、それぞれ工夫しているように思うが、個人的には一度中間言語に置き換えるというプログラム的なやり方がよいのではないかと思っている。それは単純にドレミという音に置き換えて、楽譜とギターのギャップを埋めるというもの。ごく当たり前のやり方。ギターを弾きながらドレミが言えて、楽譜を見てドレミが言えれば、対応させるのはそれほど難しくない。あえてタブ譜のようにポジションは固定せずに、ゆるい対応にしておきたい。こうすることで、オクターブ違いとか、ポジションを変えることが容易になる。ギターの指板上を、鍵盤白鍵の音のパターンを覚えて行くところからはじめる。まず固定ドで習得し、その後移動ドの複数パターンを覚えていくという流れ。どういうスタイルの演奏をしたいかで、どこまで習得するかは大きく変わるが、まずはローポジションの2オクターブぐらいの範囲をやって、徐々に広げて行くとよいと思う。
ファ#やシbをどう発音するか
ドレミはイタリア語で発音しやすく、それなりのスピードでも流暢に言えたりする。ただ、#やbが出てくると発音するには都合が悪い。世の中それを解決する方法も提案されていて使われているようだが、統一はされていないようだ。ただ楽譜とギターとの対応が目的なので、#とbを頭の中で言えていれば問題ないので、やらないかもしれない。
移動ド
アコースティックギターで弾き語りするような用途では、移動ドで考える方がシンプルで、コード進行なども理解しやすいと思う。楽譜のキーもはじめのうちはC/Amだけを使うのがよいと思う。実際に歌ったりするときは、歌に合わせてカポでキーを変えるが、譜面はそのまま使える。 また個人的にはギターの同一ポジションでは主に3つのキーフォーム(C/Am、G/Em、D/Bm)を使い分けている。それ以外はカポで平行移動することで12キーを弾けるようにする。
下表は各キーフォームでのダイアトニックコードを記したもの。移動ドで考えるならローマ数字による度数表示法を使った方が便利。キーCでDmのコードを押せる時は「IIm(ツーマイナー), Dm」とか言いながら押さえるとよいかも。
Key | I | IIm | IIIm | IV | V7 | VIm | VIIm-5 |
C | C | Dm | Em | F | G7 | Am | Bm-5 |
G | G | Am | Bm | C | D7 | Em | F#m-5 |
D | D | Em | F#m | G | A7 | Bm | C#m-5 |
下のダイアグラムはローポジションでの白鍵の位置。数字の1がルートという具合になっている。これらのパターンの覚え方もあるので、それらは今後Blogに書いていこうと思う。