Neural Amp Modeler
Steven Atkinsonがオープンソースで開発しているアンプシミュレーター。 スタンドアローンとVST3で提供されている。プログラムサイズは3MB程度とかなり小さめ。 ただしCPU負荷はかなり高いので、スペックの低いPCでは厳しいと思われる。 以下ホームページからダウンロードできる。
https://www.neuralampmodeler.com/
v0.7.13 2024.12.21リリース
Neural Amp Modelerは発表当時に話題になったので試していたが、所有するマシンでは負荷が高すぎて諦めた。 当時はcakewalk付属のTH-3がメインで、Reaper乗り換え後は無料のTH-Uを少しいじる。 しかし山ほどあるパラメータをいじっても気に入った音にならない。 ということで、PCも新調したので改めてNeural Amp Modelerを試す。
サウンドは当然モデルであるNAMファイルに依存するけど、気に入ったものが見つかれば、良い結果になる。 その器としてのNeural Amp Modelerはシンプルで扱いやすい。 出来の良いモデルに巡り会えばピッキングニュアンスやギター本体のボリューム、トーンに対して、本物のアンプのように振る舞うところが素晴らしい。
下サンプルは、ピッキングの強さだけで、歪をコントロールしているところ。
Input、Output
パラメータは少ないので、設定の迷いはほとんどなく、インプットレベルとアウトプットレベルの調整ぐらいで事足りると思う。
Noise Gate
Noise Gateは地味に便利で、Threshold以下を無音にする。 それほど不自然さもなく、無音時にギター特有のジーというノイズを除去するのに適している。
EQ
バランスが気になるようならEQをONにしてBass、Middle、Trebleで調整する。EQの特性は以下のようになっていた。
namファイル
使うに当たってNeural Amp Modeler独自の.NAMというモデルファイルが必要。 以下のサイトに膨大に登録されているので、好みのファイルを見つけて読み込んで使う。
https://www.tone3000.com/search
このNAMシステムはオープンで優れていたため、各メーカーが採用する動きを見せている。 仕組はニューラルネットワークを駆使して独自のモデル化を行なうようだ。 プラグインの負荷も高いが、再現性はトップクラスだと思う。 作者のホームページでは、誰でもファイルが作れるように、各種ツールや作り方などの情報が提供されている。 IRシステムの拡張版のような音声ファイルinput.wavを、再現したいシステムで再生し、それを録音しoutput.wav(24bit 48000Hz モノラル)を作成する。 Github上でinput.wavとoutput.wavを使ってnamファイルを作り出す。 試しに作ってみたが、10分ぐらいで作成できた。
namフィル作成プログラムにはpythonが使われている。
キャビネット用IRファイル
こちらは昔からある一般的なIR(インパルスレスポンス)ファイルと考えてよさそうだ。 デルタ関数を入力し、その出力結果を元に音響モデルを構築するというもの。 ファイル形式はwav(24bit 48000Hz モノラル)となっている。 実際に実験しても、ほぼ同等の結果が得られたので独自ではなさそうだ。 このIRファイルも上記tone3000.comから検索できるし、他サイトでも多数公開されているので、気に入ったものを見つけて使用すればよい。
Settings
右上の歯車マークをクリックすると、下の設定画面が表示される。 デジタル入出力のキャリブレーションとなっている。
Calibrate Inputの技術的な解説はこちらにある。そこそこ難しい話。デフォルトではOFFなので、気になるようならONにして、いろいろ試すとよいかもしれない。サウンドで判断するのみで正解はない。
https://neural-amp-modeler.readthedocs.io/en/latest/tutorials/calibration.html
https://www.neuralampmodeler.com/post/neuralampmodelerplugin-v0-7-12-is-released
Output Modeは3択でデフォルトはNomalized。
NAM PARAMETRIC: OVERDRIVE
v0.1.3
こちらも同じプロジェクトのオーバードライブ。プログラムサイズも3MBと小さく扱いやすい。 Neural Amp Modelerの補助的な使い方に向いていると思う。セットで使っていこうと思う。
見た目以上に意欲的に開発されたようで、NAMの潜在能力を発揮するように工夫されているようだ。 NAMはIRのように静的なモデルの印象があるが、ノブを回したときの挙動も考慮されているという。 そのプロトタイプに当たるのがこのOVERDRIVEとのこと。 確かにノブを回したときの挙動は、全然線形ではないね。 この手のアナログエミュレートは、回路をデジタルでエミュレートする方法と、IRのような方法に分けられると思うが、NAMはIRの延長線上で可能性を探っている。