中学理科で学習する「音」について
今の中学の理科教科書を見ると、1年のときに音について少し学習するようだ。主な内容は以下の通り。
- 音の伝わり方
- 音を伝える物体
- 音の伝わる速さ
- 音の大小と高低(振動数と振幅)
- 超音波の紹介
これぐらいだろうか。中身は用語を覚えるぐらいしかない。以下は中学の内容に若干追加してみた
音の伝わり方
音は物体が振動することで発生する。その物体を音源といい、気体、液体、固体などを波として伝っていく。空気を伝った波は、耳まで届き、鼓膜を振動させる。鼓膜の振動は耳小骨(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)へ伝わり、振動が増幅され、蝸牛(かぎゅう)へ伝わる。蝸牛の中はリンパ液で満たされていて、振動は液体の振動へと変わり、その中の聴毛が揺れ電気信号に変換され、脳に送られ、音として認識される。
音を伝える物体
気体、液体、固体などが音の振動を伝えている。固体は縦波と横波の両方が伝わっていく。地震のP波は縦波で、S波は横波。気体と液体は縦波(疎密波)のみが伝わる。また物質がない真空中では音は伝わらない。縦波(疎密波)は空気に疎の部分と密の部分ができる波のこと。
音の伝わる速さ
音は空気中では約340m/s(15度のとき)の速さで伝わる。空気中の温度で音速は変化する。気温が下がると音速は遅くなり、気温が上がると音速は速くなるが、一般的には340m/sで計算する。液体や固体では空気中よりも音速は速くなり、たとえば水は1500m/sで、鉄は6000m/sとなる。
音の大小と高低(振動数と振幅)
音をマイクで録音し、電圧に変換すると横波の波形として視覚的に音を確認することができる。縦波のままでは扱いにくいため、多くの場合は横波に変換して扱う。図は音叉を録音したもので、440Hzのきれいなサイン波となっている。音の高さは振動数に表れ、音の大きさは振幅に表れている。
下図は赤が縦波で緑が横波。縦波の1本に注目すると揺れているだけだと分かる。実際、空気中の粒子(窒素、酸素など)は縦波のように揺れて音を伝えている。
振動数
1秒間に振動する回数を振動数といい、単位はヘルツ(Hz)で表す。 1秒間に10回であれば、10Hzとなり、100回であれば、100Hzという具合。振動数が多くなるほど高い音となり、逆に振動数が少なければ低い音となる。波形は同じ山の繰り返しになっている。そのひとつの山を周期という。
振動数は波長に言い換えることができる。音速を340m/sとした場合、1Hzの波長は340mとなる。2Hzであれば、その半分の170m。音叉の440Hzは、340/440で0.7727m。
振幅
波形の中心0から山頂点までを振幅という。振幅が大きいほど大きく聞こえ、振幅が小さいほど小さく聞こえる。
振幅の単位は多くの場合、物理量ではなく、比であるデシベル(dB)が使われる。つまり基準値が設定されていて、その基準値に対して、どれぐらい大きいか小さいかをdBで表示している。オーディオ機器などは最大音量を0dBと決めているので、音量はマイナス値となる。下図は上記サイン波をdB表示にしたもの。
音色(おんしょく、ねいろ)
同じ音程でも楽器の種類が違えば違った音に聞こえる。音の波形の違いが音色となる。音程は最も少ない振動数である基音が音程として認識される。多くの音は基音の上には上音(倍音)が構成されていて、その含まれ方の違いが音色の違いとなる。音叉は基音のみ発音する道具で、倍音は含まれていない。
可聴域
人は20Hzから20000Hzまでを音として感じることができるという。この範囲を可聴域という。可聴域はどの周波数も同じ感度ではなく、人がもっとも聞こえやすい周波数は1000Hzから3500Hzと言われている。また年齢とともに高域は聞こえにくくなってくる。可聴域外の20kHz以上を超音波といい、20Hz以下は超低周波音と呼ばれ振動として感じる。超音波を利用する動物としてイルカやコウモリがよく知られている。逆に低い周波数をコミュニケーションに使う動物としてはクジラやゾウなどがいる。
下は任意の周波数のサイン波を生成して1秒間再生するプログラム。