CLAPi u-he BazilleOSC PM(Phase Modulation = FM)
このページではBazille OSCのPM (FM) 部とPITCH部について解説。
一般的にYAMAHA DX7で有名なFMという音声合成は、数学的にはPhase Modulationと言った方が正確で、u-heではPMという言い方に統一されている。
DX7と変調深さの比較
まずは、2オペレータによる変調深さについて、オリジナルDX7のエミュレータdexedとBazilleの比較を行ってみる。 以下はdexedによる2オペレータの変調。0から最大に上げていった状態。 音を聞けば階段状に変化しているのが分かる。
同じことをBazilleでもやってみる。 設定は以下の通りで、OSC2をモジュレータとし、OSC1をキャリアとした2OP。
DX7よりも深く変調することが可能。 またスムーズに変化しているのが分かる。 これだけでも柔軟なFMシンセになることが想像できる。
変調の深さは下記から選択可能。
PM fine の変調範囲は狭く、微調整を行いたい場合。
PM mediumはDX7よりも控えめ。
PM coarseは、デフォルトで上記の音。DX7よりもかなり深い変調が可能。
Linear FM
Linear FM(線形周波数変調)は、一般的なラジオのFM変調と考えてよさそう。 モジュレータがキャリアの周波数を線形に変化させ、キャリアの周波数が時間とともに一定の速度で増減する。 音楽的には音色の変化を滑らかにし、独特の質感を調整することができる。 100Hzは微調整用で、1kHzはかなり大胆に変更することができる。 実際にいじってみると、変調ノブはキャリアの周波数を増減させていくという動きになっている。 そしてモジュレータが対称波形でない場合は音程が保証されない。例えばモジュレータでResやFractalizeなどを使うと音程が崩れる。キャリアで使う分には問題ない。
Through-Zero Frequency Modulation (TZFM)で0Hzを下回ることも可能。下サンプルはモジュレータをOvertone9で変調したときC4からC6を弾いたもので。とても不協和が生まれやすい設定。 はじめに通常のFM音源のPM coarse。これは音程がでたらめになっていくのが分かる。次にLinear FM 1kHz。こちらは音程をキープしている。大きな違いはこんなところだろうか。
直流5Vを入れると以下のようになる。 まずは100Hz。 0~5Vに遷移していくと、電圧が0だと音程は変わらず、電圧を上げていくと音程が上がっていく。
次に1kHzにも5Vを入れる。 かなり高音域まで出るようになる。
Relative FM
Relative FM(相対周波数変調)は、聞きなれない言葉。 こちらもTZFM可能で、モジュレータが対称波形でない場合は音程が保証されない。マニュアルに式があったので書いておく。
rel fine: oscillator frequency * ( 1 +/- 0.5 * modulation)
rel coarse: oscillator frequency * ( 1 +/- 5 * modulation)
よく分からんが、Linear FMと動作範囲が違うという認識。 なので範囲内なら同じ音が出せそうだ。 下記は設定を変えて似せてみたところ。 設定のしやすさで使い分ければよいと思う。
Linear FMと同じように5Vを入れて行く。 まずはrel fine。微妙な調整用であることが分かる。
rel coarseに5Vを入れると以下のようになる。
Tone 0~24
FM音源で重要なのが各オペレータの音程。DX7では倍音及び固定周波数だったが、Bazilleでは他にも選択肢がある。
Semitone
0が通常の音程で、1上がるたびに半音上がる。12で1オクターブ上、24で2オクターブ上となる。微調整したい場合は、隣のModifyノブで行う。SemitoneであればCentsを±100で調整。
Overtone
これが倍音となる。0~24までなのだが、倍音なので-1する必要がある。 数学的な考え方としてはBazilleがまともに見える。音楽系の数字の扱いは0の概念が抜けているので大問題なのだ。 とにかく23倍音まで扱えるということになる。DX7は31倍音まで扱えるが、実際のところそこまで必要なかったりする。
Undertone
これは低い方の倍音であまり馴染みがないが、通常倍音を反転した構成で、低くなっていく。DX7はオクターブ下の0.5倍音しかなったが、Bazilleではいくらでも下へ行ける。
Hertz 0~48Hz (key follow無効)
固定周波数を出せるが基本的には低周波なのでLFOとして機能させたいときに使う。 高域を出したいときは、隣のModifyノブを上げれば2kHzぐらいまでは上がる。
Clocked (key follow無効)
DAWのテンポに合わせたLFO。 0は何もしない。1は全音符、4は4分、16は16分という具合。 完全な同期はできないため、再トリガーする必要はあるようだ。
Modify -50~50
Tuneを調整。 細かく見ていくと、Bazilleのクレイジーな面が浮き彫りになってくる・・・
Cents x2
+/- 100 セントでデチューン。各整数ステップは2cent。 通常のデチューンよりも広めで、最大にすると半音まで上げることができる。
5Hz
+/- 5Hzでデチューン。これは珍しいパラメータで、基本的にはTuneが固定周波数のときに使用すべきものだと思われる。
Beats
ホスト同期。4=4分音符。16=16分音符。 やや混乱するパラメータ。テンポを低周波として考えれば理解できるが、普通は馴染みがないと思われる。
Multiply
定数で乗算または除算。 0にするとDCということかな?すぐにDCカットされるので、アタックだけ何かが入る感じ。 TuneをSemitone 0にした場合は、プラス側は倍音として考えてよさそう。こちらは数値通り倍音の関係が成立している。50倍音まで使えるのでDX7をはるかに超えられる。 マイナス側は除算となり、Undertoneと考えてよいが、 -1.00 から -0.01 までのすべての値は 1.00 と解釈される。
Tune modulation (ラベルなし)-50~50
ソケットに接続された信号によってピッチをモジュレーションできる。 動作チェックとしてはDC+5Vを入れると分かりやすい。 波形を入れる場合は、頭の中で複雑な変化をイメージする必要がある。 普通の使い方としてはビブラートと思えば扱いやすいと思う。 低周波を入れて、ノブで深さを調整するという感じ。 ただし、Bazilleでは普通の使い方は推奨されず、すぐに変態的パラメータが出しゃばってくるので覚悟が必要。
Cents x2
±100セント(半音)の調整が可能。
5 Semi ±5
5半音の範囲で調整可能。最大±4度。
50 Semi ±50
50半音の範囲で調整可能。±4オクターブと2度。
アルゴリズム
最大4個のオペレータによる柔軟なアルゴリズム。 まずは同じ4OPのYamaha YM2151のアルゴリズムをなぞってみる。 やってみると分かるが、パッチケーブルによる視覚化は、決して把握しやすいとは言えないね。なんか「あみだくじ」をなぞりながら理解する印象に近い。
0 直列
1
2
3
4
5
6
7 並列
オペレータをすべてキャリア扱い。OSC1だけFBさせている。
古典的FM音源であるDX7やYM2151と比較すると、当然だが柔軟性が高く、気になるような制限がない。 特にフィードバック設定の自由度はかなり大きい。 またOPはサイン波以外も可能なので、OP不足ということもない。 Bazilleの他機能と組み合わせることで、FMという枠を簡単に超えられる。
フィードバックの柔軟性
Bazilleはフィードバックレベルの微調整ができるので重宝する。 DX7だとざっくりした8段階だったので・・・ 下画像はOSC2を使ってフィードバックさせている。 レベル付きの出力をPM mediumに戻して微調整することで、FMらしい微妙なフィードバックノコギリ波が完成。