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VSTe ルームシミュレータ
u-he Protoverb 無料

リバーブはMichael Carnes作のEXPONENTIAL AUDIO R4, PHOENIXVERBで満足しているので必要性はないのだが、u-he製リバーブということで最近再び使い始めてみた。

1.0.1 (リビジョン 12092) 2021年8月10日 最終リリース
1.0 (リビジョン 4102) 2015年12月15日 初回リリース

https://u-he.com/products/protoverb/protoverb.html

u-he protoverb

VST2, VST3, AAX, AUv2

Protoverbは、リサーチウェアという扱いで、今後のリバーブ開発につなげるためのもの。 ユーザーがいじれるところは少なく、細かな調整などはできない。 使い方はプリセットを選ぶ以外は、ランダムボタンでパラメータを適当に変えるだけ。結果は神のみぞ知る。 ただ、気に入ったものが出たら、保存することはできる。またu-heにコメントをつけて送ることもできる。

個人的に何でも細かく制御したいので、この当てずっぽうな使い方は馴染めなかった。 そんなこともあって長い間放置していたのだけど、最近見直そうと思って、再びいじり始めてみた。 やはりu-heだけあって、独自のアイデアが光っていた。これは使わないともったいない。

抜群のルームシミュレーター

Protoverbはルーム系リバーブの音に特化していて、実際の部屋鳴りをリアルな雰囲気を作ってくれる。 とろけるようなテールというリバーブではなくて、想像できる大きさの部屋で鳴っている感が抜群。 そのため音楽的に使いやすいかどうかというと、ドライ音を邪魔することもあるので注意が必要。 リアルな空間が音楽的であることは稀なので。 それにしても公式のサンプルがひどい。全くリバーブの良さが出ていないサンプルって・・・

リバーブの構造について公式で面白いことを言っている。 通常は共鳴を回避したり、部屋の反射をモデル化してリバーブをつくっているが、Protoverbではその逆を行っているという。

多くのデジタルリバーブはSchroederのモデルの延長線上にある。マルチタップディレイ、コムフィルタ、オールパスフィルタを駆使して固有の共鳴を避けるようにディレイタイムに気を付けつつ、反射の減衰などをなるべく滑らかに処理するようにしている。

一方、u-heではこのような古典的な方法ではなく、共鳴を蓄積させるそうだ。 部屋の空気は、壁などの音響的な制約に影響されずにモデル化しているという。 その結果、信号を変調したりする必要がないそうだ。 細かなことは不明だが、斬新な発想で構築された初期反射に特化しているルームシミュレータということでよろしいかと思う。ただし、負荷は高めで、各トラックにインサートする使い方よりも、小編成の生っぽい音に対してかけるのがよさそう。

下はドラムのドライ音

Protoverbをかけた音。部屋で叩いている感じが出ていると思う。この音のサイコロの出目はこちら。 CHMRZYQS-3FP!J1

調整箇所

調整できるノブはDecayとDryとWetしかない。 DecayはFeedbackと同意で残響の長さに影響を与える。 最大にすると永遠に続くというリバーブという枠からはみ出た設定も可能。 これは通常のリバーブと違ってルームサイズなどで減衰時間が制限されていないことを意味している。 オートメーションでDecayをコントロールすることで、ちょっとした演出にも使えそうだ。

RNDボタン

ModelとDlaysに別けられている。 Modelは、ネットワーク構造、遅延タップの空間レイアウトと分布、有用な遅延長を設定。 Delayは、擬似乱数発生器のシードで、平均遅延長、選択する素数などのパラメーターを設定。

ある程度安全の範囲になるように調整されているようで、全く使えない音は出ないようだ。 取得したコードは名前を付けて保存すれば、プリセットから呼び出せるので、サイコロを振り続ければ、結構使えるプリセットができそうだ。 また誰かが良いプリセットを持っている場合、そのコードを教えてもらってコピペすれば、自分のProtoverbでも再現が出来るようになっている。 プリセットをxmlファイルで保存して、どうのというやり方よりもシンプルでお手軽と思ったよ。

今後に期待

EXPONENTIAL AUDIOのリバーブで何の不満もなかったのだが、 Michael Carnesは引退してしまったので、EXPONENTIAL AUDIOの未来はない。iZotopeが技術を引き継いでいるけど、本人不在となると微妙。そんなことでu-heに期待している。とりあえずルーム系はProtoverbも兼用。 特に生々しい音作りでは重宝すると思う。 また、いつの日かProtoverbから発展したリバーブが製品として出てくると思うので、首を長~くして待つことにしよう。

CLAP / VSTeエフェクト