u-he Zebra3 FMO 1~4 (GENERATORS RACK)
FMOはFrequency Modulation Oscillatorの略。 Zebra2のFMOから大きく仕様を変えてきている。 ヤマハDXタイプのデジタルFM合成だけでなく、アナログ回路をエミュレートしたthough-zero FM(Linear)もカバー。 いずれもサイン波から生成する古典的なFM音源のような構造になっている。 基本的に1モジュールの中に2オペレータあり、 2モジュール使うことで4オペレータとして扱うこともできるようになった。 ただしピッチ関係やキーボードスケーリング等はZebra2と違って内包されず、別モジュールを組み合わせることになる。 またステレオ処理できるところもユニーク。

最終ベータ版から上記UIになったが、色味が無くなり、モジュレータからキャリアへの流れのラインの色が保留色だったり、ちょっと視覚的によろしくないと思っている。 白色はアクセス可能という意味なのだろうけど、UIとしては混乱してしまう。 ちなみに、以前のUIは以下のようなデザインで色と役割が明確だった。 青は外部モジュレータで、黄色は内部モジュレータ、緑はキャリア、オレンジはフィードバックという具合。

M L/R

FMOはモノラルとL/R(ステレオ)の切替ができるところがユニーク。 L/Rが有効な場合は、DetuneやWidthを使って空間的な効果を加えることができる。 位相は常にゼロから始まる。
Pitch Source

KeyFollowか、Pitch1~4のいずれかを選択。
Tune -48~48半音
ピッチ オフセット(+/- 48 semitones)をチューンし、直接モジュレーションセレクターで調整。
Input 0~100

Zebra3ではDX7式のPhase ModulationをDXと呼ぶようになった。 BazilleではPMと正しく呼んでいたが、一般的に馴染みのある連想しやすい名前へと変更された。
- DX:classic linear FM (Phase Modulation)
- TZFM:though-zero FM (Linear FM) 詳細はこちら
- Dry:input signal (no modulation)
このノブは、入力からの周波数変調のレベル、または選択されたタイプが「Dry」の場合、 入力信号が直接出力に渡される量を制御。 この場合、入力のルーティングは無視される。
入力が内部モジュレータ(Mod)を変調するようにルーティングを変更するには矢印をクリック。

Carrier 0~100

ヤマハ式FM音源では複数のオペレータを接続して音作りをするが、その最終オペレータから出力される。 そして、その最終オペレータをキャリアと呼ぶ。 FMOではヤマハ式名称を継承している。 ちなみに他オペレータはモジュレータと呼ばれる。 これらのことを知っていないとFMOが出力音量ということが分からない。 Carrierは変調可能となっている。
Ratio 26:1~1:1~1:26倍音

正の値はモジュレータのピッチに影響し、負の値はキャリアのピッチに影響する。 整数値は倍音列に対応している。 ファイナルベータ版で修正されて、比で表示するようになった。 DX7が1/2~31倍音まで扱うのに対して、Zebra3では1~26倍音までとなる。 キャリア側の倍音調整はあまり見ないスタイルで、実質的にはモジュレータをアンダートーンにできる。
Mod 0~100

Modは内部モジュレータのレベル調整でキャリアを変調する。 種類は以下から選択。いずれもアナログ的な歪はないように感じられる。 波形は、いびつにならずにきれいに畳まれて行く。
- DX:classic linear FM
DX7に近いデジタルFM(Phase Modulation)。 57ぐらいでDX7での最大レベルと同等になる。
- TZFM:though-zero FM
アナログシンセ向けFMで位相反転することでPhase Modulationのような振る舞いをする。 基本的にアナログ信号でパッチングするユーロラックで脚光を浴びるようになった。 詳細はこちら
- ModFM:modified FM (carrier x e^modulator)

Feedback 0~100

オレンジ色の矢印でルーティングを選択。
- Modulator to Modulator:モジュレータの信号を自分自身の入力にフィードバック

- Carrier to Carrier:キャリア信号を自身の入力に戻して供給

- Carrier to Modulator:搬送信号を変調器の入力にフィードバック

種類は以下から選択。

- DX:普通のFB
- DX^2:おそらく式通りの意味
Sub-Panel

Detune -100~100
- モノモード:ピッチを±100セント調整。
- ステレオモード:これはデチューンスプレッドとなり、 左チャンネルをシャープにし、右チャンネルをフラットにする。 +100にすると設定音程に対してプラスマイナス1音上下する。 表示はモノモードのままで100ctとなってしまうのはご愛敬。 動作的には±200セントということになる。 -100にすると、左右が逆になる。
Pan -100~100
ステレオ位置を左または右に移動。 モノラルでもステレオでも動作。
Width 0~100
ステレオの広がり調整。
Quality
エイリアシングやDACの不正確さにより、初期のFMハードウェアは独特の音色を持ち、 この特性を再現したり、むしろ強調したりする価値がある。 もちろん、FMOではよりクリーンな音質設定も提供されている。
- Ancient:ウェーブテーブルサイン、誇張されたコンパンダー誤差、低ビット深度
- Retro:ウェーブテーブルサイン、より穏やかなコンパンダー誤差、DX7風
- Classic:ウェーブテーブルサイン、オーバーサンプリングなし。最もCPUに優しいオプション
- Modern:計算によるサイン、オーバーサンプリング、アンチエイリアス、クリーン
FB*Vol on/off
フィードバックタイムズボリューム。 これをオンにすると、選択したフィードバックパスに応じて、 フィードバック回路がモジュレーションまたはキャリアのレベルコントロールを含むようになる。
Key Follow
各鍵盤に対しての音量設定をKey Followで変調してみる。 下はキャリアレベル50に対してKey Followを-100~100へ25刻みで試したもの。 左から右へC0~B8までの白鍵を弾いたもの。 音量が0を下回ると位相反転するので、出力は得られている。 通常使う音域から外れることが多いと思うので、あまり問題にはならないと思う。
DX7的なFMの音作りでは音域によるレベル調整は必須で、Key Followは手軽な手段の一つと言える。 より詳細に調整したい場合は、Mathを使ってカーブを調整したり、各鍵盤ごとに調整可能なMapperの出番となる。

TZFM(Though-Zero Linear Frequency Modulation)実験
ユーロラックをやらない人にとっては、馴染みがない用語だと思うので、簡単に解説してみる。 ヤマハDX7の古典的なFM音源の仕組みは、デジタルによるPhase Modulationであることは、知られていることだと思う。 Phase ModulationとFrequency Modulationの違いは、位相を変調するか、周波数を変調するかの違いで、数学的には似たような挙動となる。
Linear FMとThough-Zero Linear FMの比較
アナログ回路で純粋なLinear FMを行うと、周波数がマイナスになると計算が破綻してしまう。 下図は、モジュレータに低い周波数のサイン波を使って、それなりに深く変調した状態。 オレンジ色が出力波形となる。 Linear FMを見ると、サイン波が0以下になると、キャリアが0Hz以下に押し下げられ、DCになってしまっているのが確認できる。 結果的にピッチが不安定になってしまう。

そこで、TZFMというマイナスになったときに波形が反転する仕組みを利用することで、PMのような音作りが可能になる。 キャリアが0Hz以下になっても反転していることを確認できる。 アナログ回路でDX7のような変調を実現する方法としてユーロラックで使われるようになった。
Though-Zero Linear FM(TZFM)とPhase Modulation(DX)の比較
Zebra3内でも出来る簡単な比較実験としては、キャリアに対してDC(直流)を入れることでピッチの様子を見ることができる。 TZFMはピッチがDCの影響を受けてしまうが、DXはのピッチを維持するのが分かる。 使い勝手がよく安定しているのはDXで、よりアナログらしくということであればTZFMということになりそう。 ほとんど好みで、どちらが優れているという話でもないが。

改めてZebra3は、DCを突っ込むとか、無茶な実験もある程度許容できる良さがあると思えた。 ただオシロの自由度が足りない・・・