u-he ZEBRA legacy
ENV
シンセの音作りにかかせないENV = envelope = エンベロープ。 機能的には時間軸に対する音量調整だが、ただのビープ音もENVを通すことで、豊かな音になる。 ADSRの基本事項をおさらいしておくと以下のようになる。
- A:Attack 鍵盤を押してから最大値になるまでの立ち上がり時間。
- D:Decay Sになるまでの時間。
- S:Sustain 鍵盤を押し続けている間の音量レベル。これだけ時間ではなく音量となっている。
- R:Release 鍵盤を離してからゼロになるまでの時間。
ZebraのENVは上記の古典的なADSRをベースに、いくつもの機能が加えられ、細かな制御が可能になっている。 特に絶対時間ではなく0~100という相対的に設定することによって、TIME BASEを使ってADSR全体を一括して調整できるという柔軟性がある。
+ボタンを押すと下のように、各ノブに対応したVELOCITY SCALEとKEY SCALEが表示される。 打鍵の強さや、鍵盤の音域で各パラメータの増減レベルを調整できる。
TIME BASE
u-he ENVの特徴。ADSR全体の基準時間をここで設定する。テンポと時間の両方で調整可能。
- 8sX:最大8秒。ツマミの目盛りは指数式 中間位置は1秒
- 16sX:最大16秒。ツマミの目盛りは指数式 中間位置は2秒
- 10s: 最大10秒。ノブの目盛りはリニア。20.00は2秒。
- 1/4, 1/1, 4/1:曲のテンポ(拍子、小節、4小節)を。ノブの目盛りはリニア。
MODE
すべての時間ベースのエンベロープステージの曲率。
- quadiric:指数関数的な曲線。アタックは凸、ディケイとリリースは凹とアナログの特性となっている。
- linear:直線的な変化でデジタルならではの特性だが、音ととしては不自然になりやすい。
- v-slope(-100~+100): スライダーが表示され、カーブをさらに変化させられる。画像を見ると分かるが、かなり極端に設定できる。
Pre-Attack
アタックの種類は以下の3つから選択できる。
マニュアルから抜粋。
- none: アタックステージをゼロから。
- Init: アタックステージを任意のレベルからスタートできる。
- Delay: アタックステージを遅延させる。
F/R (Fall / Rise time)
F/Rの設定値による違い。ゼロが無効になっている状態。プラスマイナスの調整でF/Rを有効にする。 プラスにすると、サスティーンレベルから最大音量値までの時間を設定する。100で最も速く0で無効になる。 マイナスにすると、サスティーンレベルから無音までの時間を設定する。100で最も速く0で無効になる。 極端な設定が可能なので、慎重に調整する必要がある。サウンドをカットするようなゲート的な使い方も可能。
Loop
Zebraのユニークな機能。F/Rとセットで使用する。ループパターンを以下の項目から選択できる。
- Sust2........ A second Sustain level, after F/R
- LoopA........ Loop back to Attack
- LoopD........ Loop back to Decay
- LoopS........ Loop back to Sustain
- Rel(nn)...... Extra release stage (the ‘nn’ numbers are percentages of maximum level)
Velocity
ゼロにするとベロシティは無効になる。100にすると最も感度が高い状態。マイナスにすると逆になり、強く弾くと音量レベルが小さくなる。
ワンショット的な使い方
ドラムの音って、16分音符だろうが4分音符だろうが関係なくサンプルが再生し終わるまで鳴る。あれと同じようなことをENVでも実現できる。 ATTACKを最速、DECAYとRELEASEを同じ値、SUSTAINを下げると実現できる。どこでキーを離しても減衰する速度が変わらなくなる。 またモノフォニックにすれば連続して鳴らしたときに、前の音は鳴り続けないのでハイハットを連続打ちしたようなことができる。意外と知られていないテクニックだと思う。他のシンセでも応用可能だと思う。