CLAPi u-he Zebralette 3 Matrix
Repro、Hive譲りの強力なModulation Matrixが搭載された。 これを駆使することで、少ないLFOやENVを組み合わせたり設定を調整しながら使いまわすことができる。最大で6個使える。 今までReproやHiveを使ってきたわけではないので、初めてこのタイプのMatrixを触るが分かりにくい。
拡大したところ。分かりにくい理由はUIに半分以上責任がある。
各部の名称。マニュアルより。 on/offスイッチのデザインはちょっとまずいと思う。これではレコーディングボタンだよ。 まぁ気に入らなければ、btn-default-act.svgファイルをレタッチしてしまえばよい。
Targetの選定はモジュレーションしたいノブ等にドラッグして指定する。もしくは右クリックしてコンテキスト・メニューから選択する。
信号の流れ
流れとしては下図のようにプライマリーにソースを指定して、それをセカンダリー経由で、任意の2個のノブを変調するというもの。 UI的にこの流れが見えないので、見ただけでは、まず分からない。 セカンダリーは経由するだけなので、プライマリーが空では何もできない。 そういう印象を与えるべきなのだが、それがない。
図ではLFO1をModWheel経由でPanにモジュレーションをかけ、左右に音が揺れるということをやっている。 LFO1の信号はModWheelのレベルで0~最大までが決定される。ModWheelが0であれば全くPanは影響を受けないし、100であれば、LFO1の設定どおりに動くことになる。最終的な量はtargetの横にある大きなノブmodulation depthで調整する。
以下に例を載せておく。下の設定はSecondary Sourceをスルーするので上記のModWheel:100の状態と同じになる。
以下のやり方では、Primary Sourceが不在のため全く動作しない。
以下のやり方は、初めの例の逆なのだが、この場合は同じように動作する。
Source
Primary/Secondary Sourceで選べる項目のリスト。
Envelope、LFO1、LFO2、MSEGは、表に出ているソースなのでわかりやすい。それ以外は以下の通り。
ModNoise
ランダムな変動。下動画はサイン波のピッチにかけてみたところ。時間軸に対して揺らしている感じ。
Control A/B
デフォルトではA=CC2 Breath、B=CC11 Expressionとなっている。これは好きなCCに変更可能。
Gate
ノートオンで反応。ピッチにかけた場合、最大が+4オクターブで、最小が-4オクターブとなっている。 ノブは±100なので、半音は2.0833となっている。 数値的には歯切れが悪い。 音程をちゃんと扱いたい場合はクオンタイズを使うか、チューナーで固定する必要がある。 チャープ音的なことには適しているかもしれない。
KeyFollow
center = 国際E3 = MIDI NO.52 = 164.8Hz
この音程を中心としてレベル固定され、プラスにすると高域側のレベルが上がり、低域側は下がる。
マイナスであれば逆になる。
注意点としては、レベルが限界を超えると反射する。
マニュアルではMIDI番号が違って記述されていたりする。
下図はMIDI Note 0~127までの音量のグラフ。
上段がKeyFollow+50にした場合で、下段が-50にした場合。0を下回ると反射しているのも確認できる。
ピンクがKeyFollow 0のときのレベルで一定。
ModWheel
モジュレーション・ホイール/ジョイスティック/レバー MIDI CC #01
PitchWheel
ピッチホイール/ジョイスティック/レバー
Pressure
アフタータッチはチャンネル・アフタータッチとポリフォニック・アフタータッチの両方を認識。
Velocity
MIDIノートベロシティデータ
Altenate
1音ごとにプラスとマイナスが交互に繰り返される。
Constant
Gateとの違いは、ノートオン状態でなくても動作する。具体的にはリリース後でも有効になる。
Random
-100から+100の間のランダムな値で、ノートごとに生成される。
Slot modifiers
各スロットごとに変調信号の形状を変更する。左から右の順に処理される。

Target Selector
ターゲット指定方法は、ノブに直接的にドラッグする以外に、メニューから選択する方法もある。 メニューからのアクセスでは、表に無い項目もある。
以下は変調をかけたときに出現する小さい丸に対してドラッグ&ドロップする項目。
- PitchMod Dpt
- MorphMod Dpt
- VolMod Dpt
- PnMod Dpt
- WidthMod Dpt
- Spectral Dist Dpt
デフォルトではA=CC2 Breath、B=CC11 Expressionとなっている。これは好きなCCに変更可能。
Glideは、物理的にドラッグ&ドロップできない項目。
Vary 1 Depth、Vary 2 Depthはカーブ形状の調整かと思ったけど違いが出ない。何だろ?
Mod Depthは、FXの既に変調されているノブに対して2重で変調の深さを設定するもの。変調されていないノブでは変化が出ないので注意が必要。
結構隠れコマンドがあるのがディレイ。
- TimeScale
タイムスケールをLFOで揺らしてみた。 - Wow
まずはドライサウンド。単純なノコギリ波のまっすぐな音。 - Pan
- Pan
Curve

ソースをS字カーブにマッピング。

ENV、MHなどのユニポーラのモジュレーション・ソースは、カーブの上半分のみを使用。
Rectify

半波整流または全波整流(正および負のバージョン)、または単極にする。 記号は、整流後に双極ランプ波がどのように見えるかを示している。

Quantize
最も近い離散値を採用。 整数設定はモジュレーションを典型的なステップ状にし、12のステップ設定はバイポーラ・ソースをゼロを含む最大5つの値(ユニポーラ=最大3)に変換する。 倍音系列以外のオプションは、出力を特定のスケールに量子化する。 基本的にピッチにかけることを前提としている項目と考えてよさそう。

modulation depthの値が小さいほどステップ数が少なくなり、ステップ幅が狭くなるわけではない。 以下に各ステップに設定したときに出力される音程を鍵盤で示してみた。
integer

半音階となる。C3を弾いた場合は、A#6まで鳴る。
steps of 2

全音階となる。C3を弾いた場合は、A#6まで鳴る。
steps of 3

短3度なのでディミニッシュとなる。C3を弾いた場合は、A6まで鳴る。
steps of 4

長3度。C3を弾いた場合は、G#6まで鳴る。
steps of 5

完全4度。C3を弾いた場合は、A6まで鳴る。
steps of 6

減5度。C3を弾いた場合は、F#6まで鳴る。
steps of 7

完全5度。C3を弾いた場合は、F#6まで鳴る。
steps of 8

増5度。C3を弾いた場合は、C7まで鳴る。
steps of 9

6度。C3を弾いた場合は、A6まで鳴る。
steps of 10

短7度。C3を弾いた場合は、E6まで鳴る。
steps of 11

長7度。C3を弾いた場合は、G#6まで鳴る。
steps of 12

オクターブ。C3を弾いた場合は、C7まで鳴る。
overtone series

倍音が出力される。
minor scale

マイナースケール。A2を弾いた場合は、G6まで鳴る。
minor chord

マイナーコード3和音。A2を弾いた場合の例。
minor series

マイナー3度。A2を弾いた場合の例。
major scale

メジャースケール。C3を弾いた場合は、A6まで鳴る。
major chord

メジャーコード3和音。C3を弾いた場合の例。
major series

メジャー3度。C3を弾いた場合の例。
fifths and octaves

5度とオクターブ。
Sample Hold Trigger Source

ここで選択したモジュレーション信号がプラス方向にゼロを横切るたびに、 メイン・ソースがサンプリングされ値がホールドされる。 Randomモジュレーション・ソースは、新しいノートが演奏されたときだけでなく、 ここで選択したオプションがプラス方向にゼロを横切るたびにリトリガーする。
以下のサンプルは、LFO1でピッチを変調している。
上記にSHでLFO2を使ってトリガーしてみた。ピッチを正確にするにはクオンタイズするとよい。
SL: Slew Limiting

Glideのように機能するがLFOやModNoiseなどにも有効。 Alternate、Random、Key Followなどには使えない。 サンプルはLFO rand holdをOSCピッチにかけた状態をそれぞれ試してみた。
none
fast
smooth
slow
Tips
ADSRのアタックをターゲットにする

ADSRのそれぞれのスライダーはモジュレート可能なので、MATRIXを使って、VelocityとAttackを連動させておくと打鍵の強さでアタックタイムが変更できるので便利。 強く弾くとアタックが速くなり、弱く弾くとアタックが遅くなる。 Zebra legacyでは出来たけどZebralette(Legacy)では無理だった。 結構これができないシンセって多いような気がする。 もう標準化してもよいと思っているのだが。