CLAPi u-he Zebralette 3 OSC Additive Synth
Additive Synthは加算式
Zebralette3から始まる独特の加算式。RendererをAdditiveにすると、赤枠の部分が専用パラメータとなる。
基本モノラル
WavetableはUnisonを2以上にするとオシレータからステレオ扱いされるが、Additiveでは、 サイン波の合成の範囲内はモノラルで行われているようだ。Panで左右に振ることができるぐらい。 現状ではfxでもステレオ化されるようなものはなく、OSCを出るまではこのままのようだ。 ステレオ的な広がりはWavetableのようにはできないが、各サイン波の位相の暴れっぷりが他にはない振る舞いとなっている。
揺れについて
下動画はノコギリ波Harmonics256でPhase:Resetで出力した状態。出だしこそノコギリ波だが、すぐに形が崩れていく。 ただ音はノコギリ波のままで大きな印象の変化はない。またPhase:Randomにするとノコギリの形を見れることは稀だと思う。 各倍音を担っているサインオシレータがフリーランニングのため、位相が乱れていくのが原因。 これは欠点ではなく、Zebralette3加算式のユニークな特徴と言える。 位相を乱したくない場合はWavetableを使えばよい。
またPhaseをResetにするかRandomにするかで、印象が大きく異なる。 Resetを使うと、アタックの位相が揃ってWavetableに近い締まった音になる。 Randomにすると、各サイン波の位相がバラバラにスタートするので、結果的に柔らかい印象になる。 音の傾向が大きく異なるため、目的に応じて使い分ける必要がある。
低ノイズ
特筆すべき点として、倍音以外の余計な音が出力されない。 下は矩形波を使ってWavetableとの比較をしてみた。 Wavetableは100dB以下ではあるが倍音以外のノイズがあるのに対して、Additiveは全くない。
Harmonics
加算式なので、何倍音まで扱うかの設定がある。 16から最大1024倍音まで扱える。 デフォルトでは256倍音となっている。
下はA220Hzのノコギリ波を鳴らした場合。 Harmonicsを16、96、128と設定してみた。 128になるとナイキスト周波数まで伸びている。 低音を使う場合は、倍音は多い方がよいがCPU負荷は上がるので、用途に応じて最適な設定にすると無駄がなくなる。
Noise 0~100
そもそもLegacy Zebraletteにはノイズがなかった。 基本的にZebraのOSC部分だけなので、ノイズは別モジュールのノイズジェネレータが担当。
Zebralette 3 のノイズはサインオシレータのドリフトとランダムモジュレーションによって作られているようだ。 当然のことながらHarmonicsで設定した倍音の範囲とカーブに影響を受ける。 下はノコギリ波をHarmonics32で鳴らしてNoiseを0から100へ上げた状態。 ホワイトノイズ的ではあるが、あくまでもサウンドに付随するようなノイズ。 純粋なホワイトノイズのような使い方は、OSCの中では行えない。
また基音だけはノイズが乗っていないのが分かる。
以前のzebraletteでは難しかった金物系打楽器の音は作りやすい。
Spectral Dist 0~100
以下のModifierで設定した内容をどれだけ反映するかを調整する。0にすると無効となる。
Modifier
Zebralette3ならではのユニークな部分となる。 加算式音声合成は整数次倍音のサイン波のレベルを調整して音作りをする。 ここまではCurve Spectrum - Additive Synthの設定で、周波数スペクトラムとしてカーブを描けば実現できる。 さらにModifierを使うことで、その倍音に何らかの動きを与えることができるようになる。
Expansion
きれいな整数次倍音を含んだノコギリ波に対してかけてみる。Spectral Distを0から100にかけてまわすと、基音以外の倍音が高音域へ延ばされていく。 以下の周波数スペクトラムは、リニア表示にしている。
Compression
同じようにノコギリ波にかけてみる。基音に倍音が集まってくるのが分かる。Spectral Distが100になるとサイン波となってしまう。
Curve
任意のカーブでExpansionとCompressionを周波数スペクトラムとしてコントロールできる。 Y軸中央が0で上がExpansionとなり、下がCompressionとなる。 基音は影響を受けなかったり、最大値などは同じ。 カーブはGuideを使ったほうが効率的に扱えると思う。
Harmonic Clusters
以下のCluster Selectパラメータで決定されたパターンに従って、スペクトルが等間隔に「クラスター」に整理される。 下記に従えば音程をキープしたまま、倍音構成が変えられる。
- 0: Even Harmonics
- 10: Odd Harmonics
- 20: Every 3rd harmonic, starting from the 2nd
- 30: Every 3rd harmonic, starting from the 4th
- 40: Every 4th harmonic, starting from the 2nd
- 50: Every 4th harmonic, starting from the 5th
- 60: Every 5th harmonic, starting from the 2nd
- 70: Every 5th harmonic, starting from the 6th
- 80: Every 6th harmonic, starting from the 2nd
- 90: Every 6th harmonic, starting from the 7th
- 100: Every 7th harmonic, starting from the 2nd
中間値はクロスフェードされる。 下動画はノコギリ波に対して、Cluster Selectを10にして奇数倍音に設定。 その上でSpectral Distを0から100へ上げていった状態。 偶数倍音が奇数倍音に吸い寄せられるように移動するのが分かる。
40を使って少しクワイア的にしてみた。
Log Clusters
Harmonic Clustersと似ている。 違いとしては等間隔に配置されるのではなく、スペクトル全体に均等なエネルギーが確保されるように配置されている。 3クラスターから始まり、最大レベルでは10クラスターが正確にオクターブ間隔で配置。 下はHarmonicsを最低の16にした場合の集約した数。倍音を増やすと増える。
- 0: 3
- 10: 4
- 20: 3
- 30: 4
- 40: 4
- 50: 5
- 60: 5
- 70: 5
- 80: 6
- 90: 6
- 100: 8
ノコギリ波に対して、Cluster Selectを0から100へと段階的に上げてみる。Spectral Deistは最大の100。
オーディオにもしてみた。初めに元のノコギリ波を鳴らして、その後は上記のように10から100へと10刻みで段階的に切り替えている。
ノコギリ波と、Cluster Select100の倍音の出方の比較。
20を使ってみる。
Chaos Patterns
Random Seed
100種類のプリセットパターンから選択可能。 このパラメータは少数の値は切り捨てられる。 名称からしてランダムテーブルの読み込み位置が違うのだと思うが、比較的良いものが選ばれているのかもしれない。
Distortion Range
-
Full Spectrum
倍音をスペクトルのどこにでもシフト
-
One Octave
各ハーモニクスはランダムに±1オクターブシフト
-
Four Octaves
各ハーモニクスは、元の周波数より上下4オクターブまでランダムにシフト
-
Ordered
各高調波の周波数は上下に入れ替わりるが、隣接する高調波と交わることはない。
-
One Harmonic
各高調波は、隣接する高調波に向かってのみランダムにシフト。 このオプションにより、再生中にシーケンスやその他の方法でランダム性を変調することができる。 シンバルやその他のパーカッションに適している。
下はFXで基音を削除したFull Spectrumの音。Random Seedをモジュレートしている。
Wild Randomness
ノートオンでサンプリングされたランダムなパターンでハーモニクスを再編成する。 カオスパターンに似ているがノートオンのたびにランダムになるところが大きく違う。 Distortion RangeはChaos Patternと同じ。
これを使って実験的に作ってみたガラスの割れる音。まだ不十分だけど、それっぽくはなった。
欲しい人もいるようなので、h2pのパッチファイルも置いておきます。
zebralette 3 glass