電子ピアノ YAMAHA CLP-100 修理&改造
うちにある電子ピアノはヤマハの CLP-100 というモデルで、調べてみると1987年発売だった。今から28年前のモデルになる。 音源はFM音源で、現在主流のPCM音源とは方向性がかなり違う。生音を録音して、それを再生するPCMよりも、波形をリアルタイムに計算して作り出すFM音源の方が楽器ぽくて個人的には好き。ただ、本物のピアノの音とはかけ離れてはいる。また8音ポリフォニックとかなり貧弱だ。クラシックを弾くには無理があるねぇ。
Clavinova CLP-100
1987年6月発売
定価120,000円
76鍵盤(E1-G7)
アンプ5Wx2、スピーカー12cmx2
サイズ1211x468x785mm、重量38kg
付属品:フットスイッチ(FC-5)、トップカバー、譜面立て
8音ポリフォニック
ヤマハの電子ピアノは1983年に発売され、当初はみんなFM音源だった。 1986年からAWM音源に移行している。 このCLP100は最後のFM音源電子ピアノのようだ。
下記改造後、音色サンプルを録音してみた。 ちゃんと録音すると、意外と使えると思えたよ。動画は、ひとつのフレーズが終わるたびに音色を切り替えている。
音色リスト
- PIANO1:オーソドックスなアコースティックピアノ系 (電源ONにすると常時これ)
一番力が入っていて、強弱に一番敏感。強く弾くと独特の歪が得られる。表現力があり、無難に使える音。 - PIANO2:シャープで明るい響きのアコースティックピアノ系
- E.PIANO1:ウーリッツァー系。こもった感じで、曲調によっては非常にマッチする場合もある。
- E.PIANO2: フェンダーローズ系。DX7ぽいエレピの音でFMらしく音がキラキラ。
- HARPSI-CHORD: まぁそれっぽく聴こえるがイマイチ。
- VIBES: FMらしくはあるが、音揺れがきついので、使い方が難しい。
- CLAVINOVA TONE1:ブラス。シンセリード的な使い方ならできるかな。
- CLAVINOVA TONE2:ストリングス系。FM音源のどぎついところが出ている。ゲームのFM音源ぽさ全開という印象。FMらしさという意味では強烈。
音色にオルガン系がないのが不思議。鍵盤でないブラスとかストリングス入れるなら、オルガンをまず入れた方がいいのでは?と思ってしまう。 ただFM音源のことを知ると、オルガンは加算合成的で、FMらしさをアピールするなら、より複雑な音色の方がよいということかもしれない。いや、エレクトーンとの住み分けだな?
バックアップ電源を持たないため、電池の交換などは必要がない。その代わり、電源を入れるたびに初期化される。機能がシンプルなので何ら問題ない。
謎のSTEREO SYMPHONICというボタンがあるのだが、これを押すと以下のようなサウンド変化がある。 まずは、OFFの状態のHARPSI-CHORDはモノラル。
次にSTEREO SYMPHONICをONにしてみると文字通りステレオサウンドになる。
中身はB.B.D素子を使ったアナログコーラス。 そして片チャンネルだけ波形の位相を反転させて、ステレオ感を作り出しているという疑似ステレオ。
鍵盤修理
古いが、まだまだ普通に弾くことができている。ただ黒鍵のいくつかが戻らなくなることがあるという。ということで修理してみた。ネットで同じモデルの修理記事がないか探してみたが、さすがにこれぐらい古い機種になると全くない。仕方ないので、分解しながら構造を勉強することにした。分解の過程で問題点も分かると思われる。
コントロールパネルはシンプル。電源を入れると常にピアノ1になる。バックアップ電源がないことが判る。
アクセスしやすい位置にヘッドフォン端子がある。
銘板。このころは日本製なのね。
本体底のねじを4本外すとカバーが開く構造になっている。中身はシンプルで音源&アンプの基板が1枚だけ。電源は普通の外付け用ACアダプターを固定しているだけ。スピーカーも適当な感じ。分解すると電子ピアノは鍵盤部のコストが圧倒的だということがわかる。電子関係は数千円というところかな。
鍵盤部は、本体底のパーティクルボードにネジで固定しているだけなので、それをごっそり外し、各鍵盤のメンテをする。
鍵盤部を取外し、裏側の基板類を外していく。
ベロシティの検出は極めてシンプルな構造。ハンマーにある2つの突起がスイッチを押すのだが、そのときの時間差を検出してベロシティ値を決定。また2つの突起と基板上の接点の間には、シリコン製と思われるチューブのようなシートがあって、それがクッションになっている。このチューブが30年経った今でも劣化せずに使えている。これが劣化したら、修理はお手上げかもしれない。
基板はパターンがあるだけ。接点部は経年劣化しやすいのだが、まったく問題なかった。 接点は少しでも汚れていると、ベロシティに影響を及ぼすので、しっかりきれいにしておく。
基板を取ると構造がわかる
板バネで鍵盤を戻す構造。この板バネを取ることで各鍵盤を外すことができる。鍵盤全体をひっくり返して、裏からメンテしたい鍵盤に対応する板バネを外したら、鍵盤全体をまたひっくり返して元に戻す。 ハンマーが下がった状態で、鍵盤を持ち上げながら、根元のヒンジ部を上に引っ張ると鍵盤とハンマーが取外せる。白鍵はすんなり取れるが、黒鍵は取りにくかった。コツとしては両隣の白鍵をまず外した方が作業はしやすい。 また、やや引っかかるので、慎重に位置を調整しながら取外す。
取外した黒鍵と白鍵はハンマーの形状も違う。
黒鍵が戻らない理由としては、下写真のようにシリコンぽい白い角状の出っ張りが鍵盤の中に入る構造になっているのだが、これと鍵盤が擦れて、その摩擦で戻らないようだ。対策としては、この部分にグリスなどを塗布して、抵抗をなるべく少なくしてあげればいい。
使用したグリスはシリコングリス。温度特性がよく、冬でも粘度が変化しない。またプラスチック類にやさしいので安心して使える。ちょっと高価だが、このピアノであれば10gもあれば十分なので200円ぐらいで済む。
ついでに鍵盤、ハンマーもクリーニングし、擦れる部分にはグリスを塗ることにした。
鍵盤を取外したフレーム部。
メンテ後にハンマーを戻して組み立てていく。 板バネは戻した後に、もう一度丁寧に押し込みながら弾力具合をみて調整する。 これをやらないと鍵盤の動きが鈍くなたり、戻りが遅くなっりする。
これで鍵盤の不具合は改善された。今回問題のある鍵盤だけしかクリーニングしなかったので、そのうち本格的にメンテしてもいいかも。
今回の分解メンテで感心したのは、各部に致命的な経年劣化がなかったこと。一部ウレタンスポンジは完全に駄目だったけど、機能的に問題はなく、28年近くも使うことができている。素晴らしい。今時の民生電子機器では考えられない。
AUX.OUT端子から録音してみた 150811
AUXは背面にある端子だが、このピアノの場合、通常のLINE出力と違って、ボリュームに応じて出力レベルが上下してしまう。最近入手したボイスレコーダーを接続して録音を試したところ、通常音量ではレベルが小さすぎてしまう。仕方なくボイスレコーダー側の外部入力を外部マイクとして設定することで、ピアノが小音量でもそれなりに録音できるようになった。S/N比をよくしたい場合は本体を最大音量に設定する必要がある。
録音したものを聴いてみると、このピアノの表現力のなさが露骨になる。基本モノラルなので、余計にチープな音になる。 ステレオシンフォニックというボタンがあって、これを押すとステレオコーラス効果が得られる。広がりは出るのだが、いかんせん人工的な音になってしまう。 内部的にはBBD(Bucket Brigade Device)素子を使ったアナログ回路で、今の時代からは逆にレトロな味があるともいえる。
ただ楽器としての感触は持ち合わせていて、弾く強さに応じてFM音源らしく音質変化があり悪くはない。とくにピアノ1は強く弾くと音が歪むので生楽器ぽさが出ていて好ましい。こういう電子楽器は音だけでは判断してはいけないと思った。弾いた感触と出てくる音とのマッチングがとても重要。 ということで音は何かと古さを感じてしまうが、ハードはしっかりしているし、PCMではなくFM音源なので結構気に入っている。
クリーニングと簡易メンテ 170701
いままでキーボードはカシオを使ってきたけど、これからはCLP-100を使うことにした。ベロシティなしのおもちゃキーボードとピアノタッチでは、やはり全く別物。ピアノの練習でもしたくなってくる。
AUX端子からオーディオインターフェイスへつなごうと思ったら、ピンかよ。
接点も長年使われていないから、サビも出ている。本当はこういう使わない端子はカバーをしておくべきだね。
クリーニングしてみた。大して復活はしなかったが、使える程度までにはなった。
ピン-フォンのケーブルなんて持ってないので、手持ちのジャンクを組み合わせて自作。
ヘッドフォンで聴くとノイズまじりというか音割れのようになる。 数年前はここまでひどくはなかったような気がする。 AUXから音量を最大にして録音してみる。S/N比は上がるが、ノイズは同じ傾向。 単音よりも和音でチリチリというノイズが目立つ。
ノイズの原因は、おそらくコンデンサの劣化だと思われる。30年近く経っているのでコンデンサは劣化していると思われる。 ちなみにオペアンプはRC4558DVというものが6個使われていた。
ACアダプタ内には25V4700μFのコンデンサがある。まずはこれから交換かな。
基板を取外して眺めてみる。ぱっと見、液漏れしてなさそうに思えるが、容量抜けはしているだろう。 手持ちコンデンサーには交換できるものがないので、そのうちコンデンサーを買ってこようと思う。 しばらくは、このまま使用してみる。
本体も軽く吹き掃除したのだが、黒塗装が劣化しているのか、布が真っ黒になってしまった。ほどほどにしないと地が出てきそう。
付属フットスイッチFC5メンテ
ON/OFFのみのダンパーペダルとして使用。 踏むたびにキーキー音がするので、クリーニングしてグリスを塗ることにした。 本体の色は深緑のような色になっている。もともと黒かったのだろうけど、変色したのかな?
裏面のグリップはイマイチで、フローリングの上ですべりまくる。
写真のFC5は、30年近く経っているにも関わらず、検索したら、まだ現行機種なのね。 マイナーチェンジはしているだろうけど、ぱっと見同じ。
価格は現在1500円。実売900円程度。
ケーブル長さ1.5m。
踏まない状態だとショート状態。踏むと接点が離れる仕様。
端子はTSフォーン
分解してみると、構造はシンプル。ビスがヒンジを兼ねている。耐久性を考えると、あまりよい構造とは言えない。それにしてもサビもなくきれいなもんだ。30年近く経っているとは思えない。
ケースは金属製。 スイッチは、構造むき出し。でも30年大きなトラブルもなく使えている。
クリーニングとグリスアップして完了。 このペダルは軽くて、床に上をすべってしまうので、使いやすいとは言い難い。ただ堅牢で小型なので持ち運びするには便利かな。
修理 コンデンサ交換 170715
電解コンデンサをすべて交換した。結構な数なので、まともに買うと高くなってしまう。そこでAmazonで売っていたコンデンサのセットを買ってみた。なんと180円。内容は以下の通り。例によって中国発送だが、発注から納品まで8日程度と意外と早かった。今回は、これと手持ちのコンデンサでなんとかした。
(1)50v0.22uF x10個
(2)50v0.47uF x10個
(3)50v1uF x10個
(4)50v2.2uF x10個
(5)50v4.7uF x10個
(6)25v10uF x10個
(7)25V22uF x10個
(8)16V/33uF x10個
(9)25v47uF x10個
(10)16v100uF x10個
(11)25v 220uF x10個
(12)16v 470uF x10個
で、結論としては、 音質の改善はされたものの、肝心の「音にまとわりつくノイズのようなもの」は改善されなかった。 ただ、このノイズはヘッドフォンでかなり大きな音にしたときに気になるもので、小音量であれば、それほど気にならないし、本体のスピーカーから出した場合は気付かなというレベルのもの。ということで故障とも言い切れないものがある。
失敗の原因は回路を理解しないで、コンデンサだけ取り換えればノイズはなくなるだろうと安易に考えたことにある。 一部のコンデンサは確かに劣化して、液漏れも少々あったので、交換したこと自体は後悔はしていない。 交換後は音も元気になって、解像度も上がったように感じられる。 では、「音にまとわりつくノイズのようなもの」は、どこが原因だろうか? そもそも、自分の電子ピアノではないので、新品のときは、このノイズがあったのか、なかったのか定かではない。
回路の概要
まずは、回路を部分的に切り離して検証することにした。 鍵盤から受けた信号はキースキャンCPU(XC732AO)で受けて、
メインCPU(XB031AO)に渡される。
そしてFM音源OPQ(YM3806)で音にされる。このチップの情報は皆無。8ポリなのはCLP-100の仕様で明らかだが、他は不明。 不確かな情報では、DX7と同じ6オペらしい。
この時点では、まだデジタルなので、これをレベルシフター経由でDAC(YM3012)でアナログ信号に変換される。その後オペアンプ経由で、2系統に別れて、エフェクトとアンプに渡される流れになっている。
エフェクトはステレオシンフォニックというボタンの中身なのだが、やっていることはB.B.Dを使ったアナログコーラス。MN3204&MN3102が使われていた。データシートを見るとMN3204は512ステージのようだ。ただエフェクトそのものはモノラル。
最後にオペアンプを使って片チャンネルだけ波形の位相を反転させて、ステレオ感を作り出しているという疑似ステレオだった。 実際にステレオ録音した左右チャンネルをミックスすると原音だけになって、コーラス成分は打ち消されてしまう。
ただエフェクトは回路的に結構複雑なことをやっていて、実は力が入っている印象。当時は素子の組み合わせで作るのが基本なので、こうも大げさになってしまうのね。
アンプは完全にステレオ仕様で、左右独立している。ボリュームはパワーアンプの前にあり、これも信号は左右独立。パワーアンプのレベルは常時最大なので、音量を小さくすると、パワーアンプのノイズだけが目立つことになる。
検証
アナログ信号になってしまえば、そこから波形をオーディオインターフェイスに渡せるので、DAC直後の信号を検証してみた。ここで、ちゃんとした音が出ていれば、DAC以降のアンプ関係が問題となる。下の写真のように、この箇所から信号を取ってみた。
結果的には、DAC出力後の音は、すでにノイジーだった。ということは、DACまでの回路の不具合ということになる。もしくは、これが正常ということ。 チップの問題だったら、どうしようもない。その周辺の電子部品の問題だったら、交換で対処できそう。 前回の失敗を繰り返さないためには、もう少し調べてみる必要があるが、疲れたので、もう、このままでいいという考えもある。 数年前の録音を改めて聴くと、電子ピアノからの出力が小さすぎて、パワーアンプのノイズにマスクされていた。ということは、ノイズは当時から変わっていない可能性大。こういう仕様だったというオチ?
回路調査 170716
30年前の機種なので、ネットで調べてもやはり情報はほとんどない。 FM音源チップYM3806の情報は皆無だが、 DACのTM3012 の方は少し情報があった。 2ch(ステレオ)で13bit浮動小数点ぐらい。あとデータシートが少し見れた。
しかし回路を理解するほどの情報はない。困ったもんだ。 ただデータシートのサンプル回路とは随分違う回路となっていた。 2chのアウト端子は全く使われてないという妙な感じ。 そこで、CHアウトから音を拾ってみたら、問題となっていた「まとわりつく歪」がないように聴こえる。
これはちょっと発見だったが、S/N比が悪かった。常時あるノイズもマイコンが発するピーとかガーという音なのでダメね。仕様としてはToBUFFから出しだ音をCOMに戻して、CH1,CH2に出力しているのだが、意味がよくわからない。
次に1chアウトからアンプへつなげてみたら、これも失敗。妙なノイズが乗ってしまった。ボルテージ・フォロアにしないとダメみたい。まったく使えないレベル。
DAC、オペアンプ周辺のパーツも抜いたりして試してみたが、ノイズは変わらない。こうなると、DACを含めた仕様のように思えてくる。少なくとも周りの電子パーツで調整できる話ではないようだ。もしくはDAC前の段階で手を打つ必要があるのかも。
ついでに、オペアンプの交換もしてみた。手持ちでそこそこ良いオペアンプLM4562NAがあったので、それを交換したらどうなるかという実験。DAC横のオペアンプは影響力が大きそうなので、これを交換。結果は音が変わってしまった。いままでの曇っていた感じの音がクリアに晴れ渡った音へ変身。しかし高域特性がよくなったためかノイズは逆に目立つようになった。なかなか難しいね。
ノイズに関しては、気長に取り組むとする。このままでも、それほど不快ではないので。
ちなみに基板から回路を推測するときに、よく使う手は、以下のような画像処理。基板の表と裏の写真を撮って、一方を反転させ、レイヤーで重ねて観察するというもの。今回は多層基板ではないので、簡単と言えば簡単だった。これで思ったのは随分部品が入るべきところに入っていないこと。廉価版と上位機種で同じ基板を使うことはよくあるので、CLP-100は廉価版ということかな?
YM3012 Example of basic circuitへ変更で問題解決 170717
ノイズをなくすために、7月頭から、コンデンサーを買ったり準備をし、ここ2日間で交換。しかし、全く解決されなかったので、故障というよりも、そういう設計仕様という結論に至った。
そうなると、次にやることは改造しかない。ということでDAC周辺の回路があやしいと思ったので、YM3012のデータシートにある「Example of basic circuit」をそのまま搭載してみることにした。
CLP-100の基板とにらめっこすると、本来の設計回路から省かれた印象がある。 オペアンプも付くべきところになかったりしている。 そこで、オペアンプを追加したり、コンデンサを追加したりして、わりとデータシートぽい回路に近づけてみたが、驚くべきことに、穴を追加したり、配線パターンをいじることなく、完成してしまった。 下が改造後の写真。オペアンプは差替えが簡単にできるようにICソケット8ピンを利用。改造後の姿は、とても回路をいじくり回したようには見えない。新たな部品も、まるで元々あったかのように素直に納まってしまった。
結果は、あのまとわり付くノイズが消えた!
ということは、本来はこういう回路だったように思えてきた。新品状態がどういう音なのか判らないので、すべて憶測でしかないが、コストダウンもしくは上位機種(過去機種)との関係で、部品が減らされて音が悪くなったという気がしてならない。
これで今月頭から取り組んでいたCLP-100のノイズ問題は解決した。ようやくピアノレッスンに入れる・・・
バッファ回路のオペアンプ交換 170719
DAC回りのオペアンプ交換で音質がクリアになったので、アンプ部のオペアンプも交換することにした。ターゲットは下写真の2個。片方はミキサーで、もう片方がバッファアンプ。その途中にボリュームが入っている。意外とパターンを追うのに苦労した。 オペアンプはオリジナルの RC4558DV から、NJM2122D に交換した。
交換して音を出してみると、若干繊細になったかな? という程度で大きな違いはなかった。ただ細かい音が聴こえるようになったようだ。音を伸ばすと、妙なビョーンという音がかすかに入るのだが、それもくっきりしてしまった感じ。 上のサンプルでも最後の和音の後にビョーンと鳴っているのだが、 あの音は何か? カシオのキーボードCTK-240も同じような傾向にある。FM音源の発音上の仕様だと思っているのが、そうでもないなら対策したいところ。
試しにソフトシンセのDEXEDでも確認してみた。やはり同じように最後はビョーンとなっていた。ということで仕様だね。下のサンプルはDEXEDでの余韻部分。 同じFM音源のDX7のクローンだけあって、全く同じ傾向。改めてDEXEDの再現性はすごいなぁ。
改造後初録音してみた 170722
下サンプルは音色4番エレピ2の音にエフェクトをかけたもの。この音はDX7の有名なエレピの音に近いキラキラ音。 素の音でも悪くないが、音を加工すれば十分使えることがわかった。素の音はYouTubeにアップした。
奇妙なバグ? 170722
F#を押したまま半音上のGを押すと、おかしなことになる。弱く弾くと鳴らず、強く弾くとボンと強烈な音が鳴ったり、連打ぽく鳴ったりする。 逆にGを押したまま、F#を押すと鳴らず、離したときに最大音量が出るというもの。 この現象が起きるのはF#3、F#4、F#5の3か所。
原因は、シリコン製のスイッチと鍵盤の押込み量の関係のようだ。いろいろ実験して判明した。 スイッチは長いシリコン製で全鍵盤兼用になっていて、ベロシティを実現するために2つの接点がある。 F#を押込み過ぎると隣のG部分もやや変形してしまうので、その影響でこのような症状が出る。 長いこと使っていると、プラ鍵盤も金属と擦れる部分などが摩耗するし、やわらかいシリコンも硬化していくため、 理想的なタイミングで接点を開閉できなくなったようだ。 押込み量の調整で改善できるので、ちょっとした改造で対策はとれるが、それほど困っていないので、放置することにした。
鍵盤が沈んでいるので修理 201231
下写真のように真ん中のCの鍵盤が若干沈んでいた。多分使用頻度が一番高さそうな鍵盤なので、金属部品との接触で摩耗したと思われる。
分解して問題の鍵盤を取り出す。
鍵盤を確認すると、やはり板バネの当たる部分が削れていた。
板バネは、下のように接触してくるので、長年使っていれば摩耗しますね。
修理方法はいくつか考えられるが、はじめ鍵盤の削れた部分をエポキシ樹脂で埋めようと思ったが、作業に1日以上かかるのは嫌だったので、下のように板バネに熱収縮チューブをかぶせることにした。これであれば、失敗しても簡単にチューブは取れるので、リスクがないという点がいい。
熱収縮チューブをはんだごてで熱して板バネに密着させてみた。
熱収縮チューブの厚みで削れた溝には入り込まないようになった。
組み立てて確認。沈み込みはなくなり、問題なく動作するようになった。
それにしても、このピアノはすでに33~34年使っていることになる。メンテしていれば、未だに問題なく使えるというのはすごい。多くのプロダクトの場合、修理不可能な不具合が起きて、それが寿命となるのだが、それがない。