タロット RIDER-WAITE-SMITH
主なタロットカードの種類
以前から絵画的、歴史的、その影響力という意味でタロットカードに興味があったので購入してみた。 タロットのルーツは1400年代のイタリアまでさかのぼれるらしい。またタロットはtarotと書くが語源は不明とある。 調べてみるとタロットカードは大きく別けて以下の3種類があるようだ。
Marseille版
1600年代にマルセイユで作られていたタロットカードが元となっているようだ。当時は木版刷りということもあり絵柄はトランプ的。
Rider版(Waite版)
マルセイユ版を見直し様々な思想を取り入れ、1909年に発売されたカードで、タロットカードとしては最も普及しているようだ。 いろいろな呼ばれ方がされるカードだが、経緯としては黄金の夜明け団のArthur Edward WaiteがPamela Colman Smithに絵を依頼し、William Rider & Son, Ltd. という出版社から1909年に発売された。 そのためライダー版、ウェイト版、ライダーウェイト版、ウェイトスミス版、RWSなどと呼ばれている。 また1900年にもなると、現在の印刷技術に近くなっていて、オフセット印刷もこのころ実用化されている。当時のカードがプロセスカラーなのか特色なのかは、よくわからなかった。
Arthur Edward Waite(1857-1942) Pamela Colman Smith(1878-1951)
THOTH版
カードとしては1969年に発売。比較的新しいが、1944年には考案者である黄金の夜明け団のAleister Crowleyによる「トートの書」という本が出版されていて、現在でも普通に日本語版が入手可能。魔術タロットとして使えるようにシンボルが描きこまれている。Frieda Harrisによる絵が特徴的で、描かれた時代を考えると、かなり斬新な印象を受ける。アールデコ調と言われることが多いようだが、Sagrada Famíliaの受難のファサードを担当した彫刻家Josep Maria Subirachsの作風に近い印象を受ける。幾何学的な要素が強く、CG的な雰囲気がしなくもない。遊戯王カードの中に入っていても違和感がないかもしれない。 原画はB4サイズぐらいで描かれており、現在ロンドン大学のコートールド美術研究所に保管されている。
Aleister Crowley(1875-1947) Frieda Harris(1877-1962)
タロットカードの主な製造メーカー
タロットカードを製造するメーカーもいくつかあり、有名どころは以下の3社のようだ。海賊版もあるようなので、購入する際は注意が必要。
- US Games Systems(アメリカ)
- Lo Scarabeo(イタリア)
- Königsfurt -Urania(AGM URANIA)(ドイツ)
購入デッキ US Games Systems
Smith-Waite Tarot Deck CENTENNIAL EDITION
上記3種類いずれも魅力的なのだが、初心者は最も普及しているライダー版が適当ということなので、それを買うことにした。 しかしライダー版準拠という、絵柄をリデザインしたカードも数多く存在している。 初めての購入なので1909年のオリジナルに近いものがよいと思い、比較的入手しやすいUS Games社のライダー版を選択。 また発色のよいスタンダード版ではなく、1909年当時の色を再現したという、ちょっと渋めのCENTENNIAL EDITIONにしてみた。 色のくすみは適度で、青は青、緑は緑なのでスタンダード版と比較しても違和感はそれほどなかった。
パッケージ&印象
箱の表面にはタロットではないPixie(Pamela Colman Smithの愛称)の絵が使われている。
スタンダード版はイタリア製だが、こちらは中国製
箱の裏面にはTHE FOOLになっている。
カードサイズは70 x 120mmで一般的なトランプを縦長にした感じ。Pixieが実際にどれぐらいのサイズで原画を描いたのか不明だが、高密度に描かれているので、これぐらいのサイズは欲しい。スタンダード版と比較すると若干紙が厚く、いかにも厚紙という感じ。表面の滑りも違うが、それほど気にならない。
カードには2009、2013バージョンが混在。版の違いと思われる。ほとんどは2009だが、以下のカードのみ2013となっている。
大アルカナ THE FOOL、TEMPERANCE
SWORDS 2、3
CUPS 2、PAGE、KNIGHT
PENTACLES 2
裏面デザイン
中央にDeathの死神が持っている旗のシンボルがある。Waiteによると、これは生命を意味するミスティックローズということらしい。上下にPixieのPCSというサインが入っているUS Gamesオリジナルデザイン。上下判別は可能。
Pixieの絵&おまけカード
タロットカード以外のPixieの絵が4枚入っている。これを見ると確かにミュシャの影響が大きいなぁと思う。この印刷を前提としたアールヌーヴォー調の絵柄は、変化しながら現在にも引き継がれている。日本では少女漫画に色濃く残っているように感じる。 特筆すべきは、構図とまとめ方がズバ抜けてうまいということ。その後もGolden Dawn Tarotや Golden Dawn Magical Tarotなどが出てくるが、絵が残念だったりする。個人的にタロットで絵に魅力を感じるのはライダー版とトート版。
黒線で輪郭をはっきり描くスタイルは漫画を連想させる。原画の彩色は割と均一に塗られていたようで、明らかなグラデーションは使われていない。画材は不明だが、ガッシュを使っていたという情報もある。ただ黒線を残す方向なので、ガッシュの不透明は不向きに思うが、薄めて使っていたのかもしれない。今だったらコピックのようなアルコールマーカーを使っていただろう。
タロットカードの学習
今のところ、タロットで占いをするつもりはないのだが、各カードの意味が興味深いので、空き時間に少しずつ学習していこうかと思っている。自然言語やプログラミング言語というものがあるけど、このタロットはイメージ言語と言えるような特徴を持っている。 言語は繰り返し使うことで、イメージとのリンクを構築することが重要なのだが、タロットの習得は、まさにそれをやっている。 またタロットのイメージは、それなりにうまく分散されていて、特定の分野のイメージを網羅しているような気がしている。