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あちゃぴーの自転車通勤
VST2i クラシックシンセ Ensoniq SQ-80 ソフトウェア版 無料
SQ8L

かなり前からあるプラグインなのだが、VST2 32bitと仕様が古いため、Cakewalkを使っていたときは見送っていた。 1年ほど前からDAWをReaperに切り替えて、昔のプラグインも普通に使えるようになったので試してみる。 SQ8Lの最新版はv0.91bのベータ版のまま。 残念ながら開発は永久にストップしたようだ。

SQ8L

第一印象としては、完成度が高く安定している。無料版にありがちな不安定さとかは皆無だった。そして音が80年代そのもののローファイサウンドで、これは今だからこそ価値が出てきたように思う。最新シンセで音作りする場合、意識しない限り、この音は作らないだろう。あえて80年代の音を忘れないために、SQ8Lを入れておくのはありだと思った。Bank Dプリセットは実機のSQ-80をなるべく忠実に再現しようとしている。SQ8L独自のBank Cプリセットは完成度が高く実用的。サウンドデザイナーの力量にも驚いた。

またエフェクトは搭載していないのだけど、リバーブ感のある音が多い。その実態はエンベロープを巧みに使ってリバーブ的な雰囲気を作っているだけ。高品質なリバーブに慣れていると、このような妙な技は、かえって新鮮だったりする。これも80年代的な雰囲気の要因にもなっている。

60~70年代のアナログシンセは懐かしいという音ではなく、今でも使われ続けている普遍的な音になりつつある。ところが80年代の音というのは、技術的に過渡期であり、置き去りにされてしまったようだ。SQ-80にはそういう忘れ去られて使われなくなった音がぎっしり詰まっている。 OSC波形は固定なので、この中で音作りすることになる。そういう制約のおかげで80年代にとどまり続けることが出来そうだ。 どの音にも通じるローファイ感は、元波形に入っているノイズだったり、レンジの狭さだったり、ビット不足のデジタル感だったりする。

個人的にシンセはu-heだけで間に合うのだが、リファレンスとしてSQ8Lは入れておくことにした。個人的に似たような位置づけのソフトシンセは、FM音源のDexed、VOPMex。サンプラーのTX16Wxなどがある。メインで使うことはないけど、たまに実験とかで思い出したように引っ張り出してくる。

下はオリジナルのEnsoniq(アメリカ) SQ-80で、1987年に発売されたもの。 当時は定価298000円で販売されていた。 OSC波形を採用したデジタルオシレータとアナログフィルタのハイブリッド構造。 本体はボタンを中心としたパネルレイアウトで、DX7の影響が伺える。 さらにシーケンサーも搭載していた。(SQ8Lにはシーケンサー搭載予定なし) サウンドはDX7以降の80年代ど真ん中である。

Ensoniq SQ-80

またSQ-80の先代機種にESQ-1(1985年販売 定価248000円)があり、サウンド、操作性共に共通点も多い。違いは波形種30個から75個へ拡大。また1周期だけでなくAttack Waveも追加、内蔵フロッピーディスクの追加、シーケンサー容量の増加、ポリフォニック・アフタータッチなど。

Ensoniq SQ-80

SQ-80のディスプレイは懐かしい16セグメントVFD。 VFDはノリタケ伊勢電子開発の日本の技術。 SQ8Lも、この読みにくいVFDを継承している。雰囲気はあります。

SQ8L

下はSQ8LのVFD風ディスプレイ。

Ensoniq SQ-80

BANK プリセット

SQ8L

赤色7セブメントLED上でマウスクリック(左右どちらでも)すると以下のリストが表示される。 鳴らしたい音色をマウスで選択する。 BANKはA,B,C,Dとあり、AとBがUSERプリセットで、CとDがFactoryプリセット。 Dは、実機であるSQ-80のプリセットで40個ある。 Cは、SQ8Lのオリジナルプリセットだろう。 どちらも80年代らしい音で素晴らしい。 A = C、B = Dと同じプリセット内容になっているので、AとBは改変して使ってねということかな? それぞれのBankは128個まで登録できる。

またプリセットの切り替えの際に前の音が途切れず最後まで鳴ってくれる。 これはハードウェアシンセぽい挙動で好感がもてる。

SQ8L

SQ8L

Bank Cは、SQ8Lのオリジナルプリセットで固定。サウンドの完成度が高い。

SQ8L

Bank Dは、オリジナルSQ-80のプリセットで固定。完成度は低めで粗削りという印象。

SQ8L

上下ボタンとBANKボタンでセレクトすることも可能。

SQ8L

WRITE

音色を作ったら、まずプリセットの名前は下記のようにして書き換える。 そしてWRITEボタンを押す。

SQ8L

そうすると以下のダイアログが開くので、保存したいスロットを選択して、ダイアログ上のWiteを押して保存する。 ここで保存したプリセットはWin10の場合は、プラグインと同じ階層にあるSQ8L_backup.datファイルに自動保存されるので、次回起動したときも呼び出される。

Win11だと事情が違うようだ。以下に保存されていた。
C:\Users\〇〇\AppData\Local\VirtualStore\Program Files\Common Files\Steinberg\VST2\SQ8L

SQ8L

バンクの保存、読み込み等はファイルメニューから行う。

SQ8L

以下のように4種類の入出力がある。

OPTIONS

SQ8L

マウスカーソルの動きや、SQ80のエミュレートなどの設定を行う。 どうもDAW内で複数のSQ8Lを起動している場合、ひとつ変更すると、他のSQ8Lも一括で変更されるようだ。

Voice stealing mode

同時発音数の制限8ボイス以上に達した際の発音の横取り処理のモード。

Emulation

Mouse position is restored after

Right click on display->scroll page

ONの状態では、ディスプレイ上でマウス右クリックすると次のページに進む。

SQ8L

OFFにすれば、コンテキストメニューが開き、ディスプレイに何を表示するか選ぶことができる。

SQ8L

INFO

SQ8L

Modulation source usage
現在のパッチで使われているモジュレーションが一覧できる。

SQ8L

About

SQ8L

PANIC

SQ8L

音が鳴りっぱなしになったときなどに、ここをクリックするとリセットされ音が止まる。 MIDI CCで、音がおかしくなったときにも効果あり。

INIT

SQ8L

プリセットを初期化する。OSC1のSAWが鳴る状態になる。 非常に素直なデジタルノコギリ波。

SQ8L

SEND

SQ8L

実際のSQ80 / ESQ1を使用する場合に使用するようだ。

REQ(request)

SQ8L

こちらも実際のSQ80 / ESQ1を使用する場合に使用するようだ。

シンセサイズ

音作りは、その機種のシンセサイズの仕組みを把握しないと不可能。 ネットでSQ8Lを少し検索すると、試しに鳴らしてみた程度の動画やレビューは沢山あるものの、それ以上の情報がほとんどなかった。 KVRのランキングでは人気シンセとして上位に君臨しているのに意外であった。 デジタルシンセの基本が分かっていれば、それほど難しいことはないのだが、実機と同じように視覚的な助けが乏しいので、今どきのソフトシンセに慣れている人からしたら、えらくとっつきにくいUIとなっている。 それでも、この少ない情報量のディスプレイとしては、かなり頑張っているUIだと思う。 実機の雰囲気をそのままにしてくれたのはありがたい。 当時のこのような工夫も財産だと思うのだ。

OSC波形

SQ8L(SQ-80)は、8bitのOSC波形を採用したシンセで、1周期分の短い波形を数十個搭載している。この小さな波形データを繰り返し再生することで音作りをしている。

SQ8L

また打楽器などの音は、やや長いサンプル(Attack Wave)を持っている。

SQ8L

合計で以下の75個のサンプルを本体1MBの中に保持している。 54 BOWING以降はAttack Waveとなっている。 またDRUMS1~5はキーボードにセットが割り当てられている。

SQ8L

下図はSINEを鳴らした見た時の周波数スペクトル。 今どきのシンセと比べると結構ノイジーなのが分かる。

SQ8L

サンプルは54~69のAttack Waveを鳴らしたもの。生のサンプルなので、ノイズが入っているのが明らかになる。

次にDRUMS1を鳴らしてみた。。

DRUMS 1~5のキーボードへの割り当て図。 音は基本的に同じだが、広い音程に割り当てられている楽器と構成が違う。

SQ8L

各OSC波形の詳細はこちらのページ

信号の流れはパネルのボタン配置そのまま

Moogにならって分かりやすい配置となっている。左から右へと信号が渡され処理されていく。 基本的にアナログシンセと同じようにOSC-DCA-FILTER-DCAという流れになっている。

SQ8L

4個あるLFOとENV、3個あるMAT(Matrix Modulator)は、上記OSC、DCA、FILTERに複数配置でき、デジタルならではの柔軟性ある作りとなっている。

SQ8L

実機パネル。ほとんど同じ構成なのが分かる。 SQ8LはLFOが1個多いね。SYNCやAMもワンタッチで掛けられるようになっている。

SQ8L

下図はマニュアルから抜粋。 SQ8LはModを掛けられる箇所が増えるなど少し機能が追加されている。

SQ8L

OSC(オシレータ) x3

オシレータボタンをクリックすると、VFD風ディスプレイに任意のOSC波形、各種パラメータの設定項目等が表示される。ディスプレイ上下にあるノブを回すことで設定を変更できるようになっている。またマウスで直接ディスプレイをクリック操作可能。

SQ8L

DCA(Digitally Controlled Amplifiers) x3

対応しているOSCのボリューム関係を調整する。 ディスプレイ内の右にある三角マークをクリックすることで、対応しているOSCとDCAの行き来が可能。

SQ8L

FILTER

実機はアナログ回路の4ポール・ローパスフィルタ。自励発振はしない。 3個のOSC信号がここで統合される場所でもある。 OSCがデジタルで、フィルタやアンプがアナログ回路なのでハイブリッドシンセと言われる。

実機のフィルターチップはCurtis Electromusic社のCEM3379を採用。 4ポール(24dB/oct)のローパスフィルターとVCAが内蔵されている。

SQ8L

SQ8L

DCA 4

最終出力のENV4の設定と、左右の出力バランスをコントロール。 サチュレーション効果もある。

SQ8L

MIX

1~3個のOSC関係を比較しながら見ることができる。 基本的に上記と重複している項目が大半。 ディスプレイは3ページに渡って表示される。

SQ8L SQ8L SQ8L

MODES/EMU(SQ80エミュレート)

MODEは基本設定となる。

SQ8L

続いてEMU(SQ80エミュレート)の設定ページ

SQ8L

EMU 2ページ目

SQ8L

SYNC:ON/OFF

OSC2の位相をOSC1の位相に同期させる。 つまり、OSC1が波形の1つの完全なサイクルの再生を終了して別のサイクルを開始すると、前のサイクルが完了しているかどうかにかかわらず、OSC2はサイクルの最初にリセットされる。

SQ8L

AM:ON/OFF Amplitude Modulation

OSC1の振幅がOSC2の振幅をモジュレート。OSC2の振幅エンベロープは無視。2つのOSCーで再生される周波数の合計と差で「側波帯」周波数が作成される。 動作としては、より一般的なRing Modulationと似ているが、変調された元の信号も含まれる。つまりOSC2の信号はそのまま残り、OSC1の信号は消える。 またOSC1とOSC2のON/OFFにかかわらず同じように鳴る。

SQ8L

MONO:ON/OFF

レガートモノラルモード。

SQ8L

LFO x4

SQ8L

SQ8L

ENV(エンベロープ) x4

一般的なADSRに、もう一点追加されたENVで、音量レベルも調整可能になっている。

SQ8L

L(Level)とT(Time)になっていて、下図を知っている必要がある。 ADSRよりも数が多く、視覚的にも確認できないので慣れが必要。

SQ8L

実機ではパネル上に図が描かれている。 Lは位相反転も可能。

SQ8L

2ページ目はSQ8Lの独自拡張機能。

SQ8L

MAT(Matrix Modulator) x3

マトリックスモジュレータ。各種ソースを複数組み合わせて、より複雑な変調を可能とする。

SQ8L

MIDI CCについて

今どきのプラグインのようなオートメーションは難しいのだが、 MIDI CCを使うことで割りと自由にDAWから変調を掛けることができる。 下記はReaperでCC#74(Brightness/Cutoff Freq)を使ってLFO的にFILTERのFREQを動かしている。

SQ8L

しかし、これの再生後、鍵盤からちゃんと鳴らなくなる。 そのときはPANICボタンを押すと復活する。

SQ8L
SQ8L