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あちゃぴーの自転車通勤
東海林修 機材の変貌6
1993~2014 Protools

1988~1992

約4年の空白時期。「OSAMU SHOJIの世界」のライナーノーツによると、1992年3月開園のハウステンボスのイベントテーマを手掛けていたようだ。内容は未確認。機材はMac、Cubaseを使っているとある。

1993年6~7月 OSAMU SHOJIの世界

OSAMU SHOJIの世界

「OSAMU SHOJIの世界」と題して6~7月に10枚もリリース。 当時のポップスから10アーティストをピックアップして、インストとしてリアレンジしたシリーズ。 ホイットニー・ヒューストン、槇原敬之、米米CLUB、ユーミン、サザンオールスターズ、ドリーム・カム・トゥルー、尾崎豊、チャゲ&飛鳥、竹内まりや、今井美樹など、アーティストごとにアルバムにまとめている。

使用機材からフェアライトが消えているのがショック。 本人もフェアライトは運命共同体とも言っていたのだが、フェアライト社の経営悪化に伴い楽器ビジネスから撤退してしまったのだから仕方ない。フェアライトは2021年現在でも映画テレビ産業市場で生き残っている。動画編集ソフトで有名なDaVinci Resolveのオーディオ処理はフェアライトが担当している。

これらのアルバムのライナーノーツにkorg、Roland、Proteus等のハード音源の名前は見受けられるが、どうやって制作していたかは不明。 半年後のドラゴンボールではMacを使っているので、この時期からMacを中心とした環境の可能性が高い。 機材にアナログ機器がなくなっていく時期で、フェアライトのころのようにオープンリールへの録音などもしなくなっていると思われる。 そのためか、デジタルのクリアさが前面に出てくるようになった。クリアではあるのだが、アナログの風味が消えると、味気なくなってくるという現象が生まれる。良し悪しは別として、音の雰囲気は大きく変わってくる。

ドリカムの中から「Eyes to me」 こういうのを聴くと、スーパーで流れている音楽ポイと思ってしまう。 当たり障りがなく、さわやかな雰囲気で、歌がないから歌詞に耳が奪われず、従業員の作業に影響が出にくく、客には気分よく買い物してもらえるという。 とても軽く見られがちな分野だが、意外とプロフェッショナルじゃないと作れない高度な技で制作されている。 このアルバムはE-mu Proteus 1XRを多用したとある。 従来は弦楽器が苦手だったシンセだが、この頃になると容易に扱えるようなったようで喜んでいる。 昔は単体のバイオリンを何度も重ねてストリングスサウンドを作っていたようだ。

Korg 01/Wpro(320,000円)

Korg 01/Wpro

Korg 01R/W(200,000円)

Korg 03R/W(124,000円)

Korg 03R/W

Roland Sound Canvas(この時期のサウンドキャンバスとなるとSC-55mkII(69,000円)だろうか)

Roland Sound Canvas

Roland JD-800(300,000円)

Roland JD-800

E-MU Proteus/1XR(200,000円)

E-MU Proteus/1XR

E-MU Proteus/2XR (330,000円)

E-MU Proteus/2XR

1993年7月 「ウルトラマンvs仮面ライダー」

ウルトラマンvs仮面ライダー

タイトルが凄いのだが、実際にはウルトラマンシリーズと仮面ライダーシリーズのインタビューを中心としたドキュメンタリーで、最後に夢の競演特別映像がある。この音楽を東海林修が担当している。戦いしかないような映像なので、ラッキーなことに劇伴は、かかりっぱなし。王道のオーケストラサウンドで、ウルトラマン、仮面ライダーに気を使った曲になっている。爆発とか効果音がうるさくて音楽がよく聞こえないのだが・・・ 多分サウンドトラックはリリースされていないと思われる。

1993年10月 「サウンド・ポエム 恐竜の世界」

サウンド・ポエム 恐竜の世界

不思議なシリーズを5枚リリース。太古の恐竜の鳴き声の効果音を中心に音楽も少々という内容。恐竜の鳴き声に浸りたい人にはお勧めの一枚だ。 この時期、世の中は恐竜ブームで映画ジュラシックパークも公開されピークを迎えていた。それに乗ったのだと思われる。

発売元がフォルテ・ミュージックエンタテインメントで、おそらくこのシリーズの企画をしていると思う。 また販売元は日本コロンビアとなっている。 フォルテ・ミュージックエンタテインメントは日本コロンビアから分社化した特撮音楽部門ということで、結局業績不振で、1995年に日本コロンビアに吸収合併されている。 どう考えても売れないだろうと思える企画だが、先生は依頼された仕事は大抵受けてる印象。 その依頼内容から、時代背景や企業の足搔きまでもが見えてくるのが面白い。

音楽は、もう少し恐竜を意識したものかと思ったら、意外とさわやか系でした。恐竜うるせぇよ。

このアルバムからデジタルリバーブ Lexicon 480L(1,760,000円)を導入。

Lexicon 480L

1993年12月 「ブラックジャック OVA 1~3話 サウンドトラック、イメージアルバム」

ブラックジャック OVA 1~3話 サウンドトラック、イメージアルバム

ブラックジャック2枚組 「ブラックジャック OVA 1~3話」のサントラを手掛ける。コブラの出﨑統が監督の絵が劇画タッチのブラックジャック。原作手塚治虫(おさむ)、監督出﨑統(おさむ)、音楽東海林修(おさむ)という最強のおさむトリオとなった。全12話だが、1993~2011年と長期にわたり数話ごとに作られた。東海林修は1~5話の音楽を担当した。各話ごとに作曲していて力が入っている。ただ、劇中での音楽の使われ方は残念であった。

3話などは銀河鉄道やコブラ以来の重厚なオーケストラサウンドをシンセでやっている。このままオーケストラで演奏したら、凄いと思えるのだが、シンセの音が生音に近づけば近づくほど、そう思ってしまう。そこがこの時期(今もだけど)のシンセの寂しいところ。E-MU Proteus 2XR等のオーケストラ音源の当時の実力が音に出ている。

スネアについては「ローランド社のスネアが迫真的で効果抜群、関係者の間でも好評でした。」とある。多分サウンドキャンバスのスネアだと思うが、安価でも意外と音はよかったのね。ちなみのcakewalk付属のTTS-1もサウンドキャンバスの流れのソフト音源なので鳴らしてみたら上記と同じ音がした。

サウンドトラック以外にリアレンジされてた曲もある。また本編で使われてない曲もここに収録されている。 「空から来たこども」

機材は以下の通り。X1やX2は台数だと思われる。
Korg社~ 01/Wpro X1 01R/W X3 03R/W X1
Roland社~ Sound Canvas X1
E-MU Systems inc.~ Proteus/1XR Proteus/2XR
digidesign SampleCell X2
Mixer~ Allen & Heath 32ch.in
digidesign Intelligent Noise Reduction
digidesign Sound Tools ProMaster16
Lexicon 480L Digital Effect System
Spacesizer 360 by Intelligent Music Laboratory

久々にアルバムリリースしたかと思えば、猛烈な勢いでリリースし続けた1993年でした。

1994年4月 「デジタル・ドラゴンボール・ザ・ワールド」

デジタル・ドラゴンボール・ザ・ワールド

名称は使われていないが、中身はデジタルトリップそのもの。1曲オリジナルが含まれている。 クリアな音色だが、フェアライトのころのような音とはだいぶ違っている。 このころになるとアマチュアとの機材格差がなくなってきたので、音色に対する特別感が薄れている。Roland Sound CanvasなどDTMを代表する機種で、このころはアマもプロも使っていた音源。まさに時代を象徴していると思う。

音源の格差は縮まっても、相変わらずのアレンジ力を見せつけてくる。が、ドラゴンボールファンは、これじゃない感が強いのではないかな? デジタルトリップから、およそ10年経ち、ジャケットはちゃんとオリジナルキャラクターを使えるようになったようだが、一流デザイナーを使っていないのは明らか。版権元から使える画像をもらって、あとはそれを使って構成しました程度。裏面はPhotoshopでKai Krauseプラグインを使っているだけだし・・・ せっかくなので東海林修オリジナル曲の「死闘!セルゲーム」。途中からエレキギターの音が入ってくるが、この頃のサンプリングサウンドは、本物に近寄りすぎて、かえって微妙な違いが気になるという状態。普通はそれを嫌って、本物のエレキギターを使うところだが、それをやらないところが、ある意味さすがである。ちゃんと電子楽器の発展途上の実力が分かるようになっている。

またサンプリングという枠から外れて、音声のデジタル編集が面白くなってきてしまったようだ。 多くの曲でルーカスフィルムライブラリーという効果音集や、本編のセリフなどから加工して使っている。 次の「孫悟飯登場」では、資料のカセットテープから口笛部分をハードディスクに取り込んで加工したようだ。資料がカセットテープというところに驚いたよ。

さらに「天下一武道会への挑戦」では中国の港の雑踏を表現しているが、ルーカスフィルムライブラリー以外にもRolandサウンドキャンバスに入っているSFXを結構使っている。

Cakewalk付属のSST-1には同じ音が収録されているので、そちらから使っている音を個別に並べてみた。

Korg 01/Wpro
Korg 01R/W
Korg 03R/W
Roland Sound Canvas
E-MU Proteus/1XR
E-MU Proteus/2XR
SampleCells
SoundDesiner2
Lexicon 480L
digidesign DNIR noise reduction
allen & heath 32 in mixingconsole
Lucas filmsound libraly
Apple Mac Quadra 950

Apple Mac Quadra 950

digidesign 2 digital mastering system

1995年 「ブラックジャック OVA 4~5話」

ブラックジャック OVA 4~5話

「ブラックジャック OVA 4~5話」サウンドトラックだが、リアレンジされた曲も半分あるので聴きやすい。 これが最後の劇伴だと思うが、全く手抜きはしないし、マンネリにもならないところが凄い。 コンセプトが違えば、違ったアウトプットをするということなのだろうが、ネタ切れしないのが不思議で仕方ない。 この後も、オリジナルアルバムを中心に30枚以上リリースするのだから、そのエネルギー量はニュートン、エジソン並みに思えてしまう。 「エストラーダ」弦のアンサンブルがかっこよい曲。

1996年 「TEKNO HOUZE」

TEKNO HOUZE

完全オリジナルアルバムで、自身のShoji Corporationからリリース。 音楽ジャンルのテクノをTEKNOとし、ハウスをHOUZEとしているところがユニーク。曲名もすべて文字遊びしている。 中身はサンプリング(ループ素材)を多用したテクノ系で、リズム主体の激しい曲が並ぶ。この当時で5GB近いデータで運用していたというのは驚き。所有しているアルバムの中では、ある方向に突き抜けた作品となっている。お気に入りの一枚だが、アルバム全体を通して位相が気になるという。音響的に問題というか、これは実験なのか? タイトル曲「TEKNO HOUZE」は、メロらしいものがない。Emu社から送られてきたサンプル素材(CD-ROM)が気に入って、それを元に作った曲。

機材は、このアルバムからProtools 3(1994年)を使うようになったようだ。
SampleCellⅡ、SoundDesignerⅡ、ProtoolsⅢ
E-mu e64

E-mu e64

Roland JV-1080 x2

Roland JV-1080

Roland SC-88(1994年発売89,800円)(写真は1996年発売のPro)

Roland SC-88

Proteus/2
Korg 01/Wpro
Korg 01R/W x2
Lexicon 480L

1996年7月 「太陽の詩」

太陽の詩

完全オリジナルアルバム。バランス的には明るく健康的なサウンド。この健康的なところが、フュージョンというかイージーリスニング的な傾向にあり、ちょっと物足りなさを感じてしまう。それでも「花のサンバ」などは衰えを全く感じさせずかっこよいです。

やはり東海林修はアレンジャーであり、コンセプトに応じて、演奏者(音源)を配置して、それを指揮取っているのだと思えた一枚。シンセサイザーという括りで見てしまうと、もっとシンセならではの音を使ってほしいと思うのだが、そんな狭い視野ではなく、見ているところが全然違うようだ。

SampleCell II
SoundDesiner II
Protools III
Proteus/2XR
Roland JV-1080
Korg 01/W pro
Korg 01R/W
E-mu e64
Lexicon 480L
Apogee 1000-D

1997年1月 「EG Drive1」

EG Drive1

オリジナルアルバム。コンセプトはドライブ。中身はいつもと変わらず東海林修サウンドとなっている。 わりと躍動的な曲が多く、TEKNO HOUZEに近い方向になっている。実際似たモチーフを使っている曲も見受けられる。 サンプルは「Drive Beat #5」

1997年1月 「EG Drive2」

EG Drive2

こちらもコンセプトはドライブだが方向が違ってリラックス効果を狙っておとなしめの曲が多い。 Protoolを使い始めてからの音は、やはりアコースティックを模した音を多用するようになり、それが好みがわかれるところでもある。エレキギターそっくりな音を使うなら本当のエレキギターでやってほしいとか思ってしまうわけだ。

楽器メーカーは本物に近づくよう日々開発を行うわけで、好みは置いておいて、その時実現した音をそのまま使うところが、さすが東海林修だと思うのだ。もしこの時期のメーカーの本物に近づけるという開発方向が気に入らず、昔のアナログシンセに戻っていたら、東海林修のアルバムだけで、電子楽器の系譜を追うことはできなかった。

「夕べのそよ風」ピアノ88鍵分をサンプリングしたものを取り込んで使用し、32MB使い切るほどの容量が必要で、2枚目のボードの救援で完成できたという。響きには満足しているとある。 「先生、アコースティックピアノ弾いて下さい!」 という突っ込みは置いておいて、 たしかに現在でもピアノ音源は容量を食う代名詞みたいなもので、100GB、200GB超えでも驚かなくなっている。

1997年5月 「THE EVENT」

THE EVENT

このアルバムはイベントで使われているマーチなどよく知られたものをリアレンジしたもの。 ただバランス的に、やむなくオリジナル曲も追加している。そんな、やむなく作られてたオリジナル曲「月のサンバ」 情熱的な曲でかっこよい。

気になるのは音色だろうか。 フラメンコ風ギターは、明らかに打ち込みで、ナイロンギター以外には聞こえない音色でもある。 つまりナイロンギターの音で打ち込みしましたという明確な意図が聞き手に伝わってくる。 ここが微妙なところで、それなら、パコ・デ・ルシアに弾いてもらったら最高じゃない? となってしまう。 そうなると、この楽曲は微妙な立場になる。デモ曲? みたいな。

上記のような流れで、アコースティックサウンドを模した打ち込みサウンドを完成形として見れない人は多いと思う。 東海林修はおそらく、その先を見ていて、今できるのは、ここまでというスタンスだと思う。 そもそも生演奏は最高だと思ってないふしがあり、重要なのは設計図だよと言っているようでもある。

1997年11月 「なきごえどうよう」

なきごえどうよう

サンプリングした動物の鳴き声を多用した、かなり思い切った実験アルバム。 この方向で、ここまで振り切ったのはすごいと思う。一般的には、まず受けいられないだろう。 よく知られた童謡もあるが、半分以上はオリジナル曲で占められている。 犬猫以外も鳥とか豚とかヤギとか馬など、いろいろな動物の鳴き声が入っている。 サンプルはオリジナル曲の「仕切屋犬」犬のリズムと、猫のコーラスという組み合わせ。主旋律を鳴き声で歌わせている。猫はまだ音程感があるけど、犬は音程感が希薄なので扱いに苦労している。

Protools III
SoundTools
Lexicon480L
Cubase Audio
MacOS

1997年11月 「童謡」

童謡

この後1998にかけて「童謡」シリーズを数枚リリースする。 1968年にもオーケストラサウンドで「素晴らしき日本旋律集」というアルバムを出していてるので、突然童謡に目覚めたということではないらしい。

今回のアルバムでは音量の強弱に気を使ったとあり、以前は、細かな制御ができなかったという。ようやくカーブで音量制御が出来るようになったということらしい。今までは制御に限界があって、最終的にはミキサーで調整していたようだ。 また、どの曲も原曲メロディには手を加えないアレンジになっている。「素晴らしき日本旋律集」では大胆にメロディをいじっていたので、少し物足りない気もしてしまう。 「おもちゃのマーチ」おもちゃ系の効果音を使って楽し気な雰囲気を出している。

このディスクには使用機材が少し書いてあった。音源系は触れていない。cubaseを使っているのは意外。この頃のProtoolsはMIDIが弱かったので併用していたのかもしれない。 1996年 Cubase VST for Mac3.0が発売されているので、時代はソフト音源へ歩み始めた。

Protools III
SoundTools
Lexicon480
Cubase Audio
Mac

2002年にProTools 5導入。 プロフェッショナル向け ProTools HDに相当。これはリリースと同時に導入している。 96kHz/24ビット及び192kHz/24ビットのリニアPCM音声フォーマットをサポートするようになった。 今見ても充分立派なスペックだ。

2006年 「ディスコ・キッド バラエティ Vol.I」

ディスコ・キッド バラエティ Vol.I

ジュエル・ミュージックからリリースされたアルバム。1977年に吹奏楽コンクール用の課題曲を8種のアレンジでシンセサイザーで打ち込まれたもの。1曲のアレンジ違いだけで1枚のアルバムなので、かなりマニアックなアルバムという印象。コロンビアからは出せる気がしない。そういうこともあってジャケットは手作り感がある。写真は東海林修自ら撮影。写真は趣味にしていたみたいでいろいろ撮っていたようだ。それにしても富士山とはベタなモチーフを選んでしまった。ジャケット右下のある創作後30年というロゴも東海林修がデザインしたとある。音楽以外もいろいろ好奇心があるという感じ。

肝心の中身はオーケストラバージョン、ディスコ調、メルヘン調、ミュージカル調、ピアノロマンチックなど、さすがアレンジャーだけあって、いくらでもバリエーションが生み出せることを証明している。サンプルは「ロマンチック世界へのいざない」というバージョン。

2006年 「ディスコ・キッド バラエティ Vol.II」

ディスコ・キッド バラエティ Vol.II

上と同じくジュエル・ミュージックからリリースされたアルバム。ディスコ・キッドがアレンジ違いで4曲収録されていて、ビッグバンドバージョン、弦楽四重奏、フルートアンサンブル、ピアノという具合で、生演奏となっている。サンプルの1曲目は東海林修自身が編曲と指揮を取っている。他の曲の編曲は増井めぐみ。ソロパートは微妙だな・・・

2007年 「ディスコ・キッド 2007」

ディスコ・キッド 2007

このアルバムはディスコ・キッドのアレンジ違いの2曲と近作の「鼓動」「漂流」「Thanksgiving」からの選曲となっている。聴く限り、90年代とそれほど大きな変化はなく、既存楽器をベースとしたナチュラルな音傾向にある。 「躍動への気配」マリンバを起用した曲は稀だと言っている。フェアライトのころはよく使っていたけどね。

それにしても、やっちまった感が半端ないジャケット。 画像処理ソフトで、フォントのエンボス加工のみという。 そもそもデジタルトリップのときから微妙なジャケットが多かったのだが、さすがにこれはないでしょ。 この後も5作品リリースしている。

振り返ってみると

シンセサイザーは、1970年代から80年代前半ぐらいまでは物珍しく、それだけで売りとなっていた。 新しい何かを求めていた当時のムードに合っていたのだと思う。

90年代以降は逆に再現の時代になってしまった。 日々発展するテクノロジーを利用して、本物の楽器に近づけようという試みである。 正確には初めから既存楽器も目標のひとつではあったが、あまりにかけ離れていただけで、90年代以降急接近したにすぎない。 当然、完成度が上がるにつれて、代替として使われるようになる。 その結果、シンセサイザーの立ち位置が70年代、80年代とはだいぶ違ってしまった。 皮肉なことに電子サウンドが本物の楽器そっくりになればなるほど、聴きなれた本物との違いが気になり、違和感を感じるようになる現象も生まれる。

70年代のシンセサイザーは、電子音そのものだったので、比較も何もなく、そういうものだということで受け止めていたが、 現代は、本物を使う予算がないので、シンセでとりあえず、それっぽい音出しておきますと言ったとたん「な~んだ」という雰囲気になる。 本物を目標にしたとたんに、本物を超えることはあり得ないわけで、その価値さえも便利な代替品へと成り下がって行った。

不思議なことに東海林修は、そういうムードに無頓着で、常に最新のシンセを利用して作曲活動をしていた。 フェアライトがいくら気に入っていても、新しい時代の機材に変更していく。止まったり、戻ったりしないのだ。 また、シンセをやめて、オーケストラの生演奏に方向転換することもなかった。 このブレない姿勢は、結果的に電子楽器の歴史を、そのままアルバムというかたちで見せてくれた。

「機材の変貌」は、まだまだ抜けが多し、2000年以降の情報がほとんどないため、情報を入手次第、加筆していくつもりです。 東海林修関連の情報共有(ライナーノーツ等)歓迎です。 achapi2718@gmail.com

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